強制保険(CTP、Compulsory Third Party insurance)
CTPは、車の事故で人がけがをしたり亡くなったりしたときの補償にあてる強制保険で、車の登録と結びついています。車や物の損害は補償しません。登録料に含まれる州と、保険会社を選んで買う州があり、補償の考え方(過失の有無)も州・準州ごとに違います。
条件や金額は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の情報を確認してください。個別の判断は、登録された専門家に相談してください。
CTPとは
CTPは、車の事故で人がけがをしたり亡くなったりしたときに、治療費、リハビリ、補償などにあてる強制保険です。オーストラリアでは車の登録(Rego)と結びついていて、登録の全体像は車の登録(Rego)で説明しています。
CTPで補償されないもの
QLD、WA、ACTの公式ページは、CTP(にあたる保険)が車や物の損害を補償しないと明記しています。NSW、VIC、TASの説明でも、対象は人の死傷です。自分の車の修理代や、ぶつけた相手の車の修理代は、任意の車両保険で備えます。
オーストラリア首都特別地域(ACT)の当局は、車両の損害には別の保険(comprehensive や third party property など)が必要で、登録の費用には含まれないと説明しています(ACT政府のページ(新しいタブで開く))。
補償の考え方は州で違う
事故を起こした側(過失のある運転者)がけがをした場合に補償されるかどうかは、州・準州によって違います。
- ニューサウスウェールズ州(NSW):CTPは、自分や自分の車を運転していた人に過失がある事故での死亡・けがを補償し、場合によっては過失の有無にかかわらず補償すると州政府は説明しています(NSW州政府のページ(新しいタブで開く))。
- ビクトリア州(VIC):交通事故委員会(Transport Accident Commission、TAC)は「no-fault」の仕組みで、事故の原因が誰にあっても、けがをした人に医療給付や支援を行うとしています(TACのページ(新しいタブで開く))。
- ACT:MAI保険は、過失の有無にかかわらず、事故でけがをした人を補償します。事故を起こした運転者自身も含まれます。
- タスマニア州(TAS):自動車事故保険委員会(Motor Accidents Insurance Board、MAIB)は、過失の有無にかかわらず、対象となる人の治療や支援の費用を払うとしています(MAIBのページ(新しいタブで開く))。
- クイーンズランド州(QLD):自分に過失がない事故でけがをした人が、過失のある車のCTPに請求する仕組みです。事故を起こした運転者自身のけがは対象外です(MAICのページ(新しいタブで開く))。
- 西オーストラリア州(WA):CTPは、自分の車の運転者が他の人を死傷させた場合の責任を補償します。これとは別に、重い障害を負うけが(catastrophic injuries)を、過失のある運転者がいない場合も含めて支援する仕組みがあります(ICWAのページ(新しいタブで開く))。
それ以外の州の細かい補償の範囲は、各州の当局のページに載っています。
州・準州ごとの違い
| 州・準州 | 呼び方・運営 | 払い方 | 保険会社を選べるか |
|---|---|---|---|
| NSW | CTP(green slip) | 登録・更新の前に買う。期間は登録と同じにする | 選べる |
| VIC | TAC負担金(TAC charge)。運営はTAC | 登録料と一緒に払う | 選ばない(TACが運営) |
| QLD | CTP。監督は自動車事故保険委員会(Motor Accident Insurance Commission、MAIC) | 登録と一緒に交通・道路局に払う | 選べる。変更は次の更新から |
| WA | 自動車傷害保険(Motor Injury Insurance)。運営は州の保険委員会(ICWA) | 車両ライセンス(登録)と一緒に払う | 選ばない(ICWAが運営) |
| SA | CTP。監督はCTP保険規制機関(CTP Insurance Regulator) | 登録の更新と一緒に払う | 更新ごとに選べる |
| ACT | MAI保険(Motor Accident Injuries) | 登録のときに買う | 買うたびに選べる |
| TAS | MAIBの保険料 | 登録した車に強制の保険料がかかる | 選ばない(MAIBが運営) |
| NT | MAC保険(Motor Accidents Compensation) | 登録料に含まれる | 選ばない |
中古車を買ったとき
- NSW:登録を移すと、CTPも自動的に新しい所有者に移ります。次の更新まで手続きは要りません。
- SA:中古車を買うと、残りの登録期間とCTPを引き継ぎます。保険会社は次の更新のときに選び直せます(SAのCTP規制機関のページ(新しいタブで開く))。
- それ以外の州については、中古車の買い方と各州の公式ページを参考にしてください。
保険料の決まり方
- VIC:TAC負担金は、車の種類と、車をふだん置いている地域(risk zone)などで決まります。
- SA:保険会社ごとに保険料が違います。同じ内容の保険を、価格やサービスで比べて選べます。
- QLD:MAICのサイトで、保険会社の価格を比べられます。
手順
NSW、QLD、SA、ACTのように保険会社を選ぶ州では、次の流れが一般的です。
- 保険会社と保険料を比べる。QLDでは、MAICのサイトに価格の比較ツールがあります。
- 保険会社を選ぶ。NSWでは登録の前にCTPを買い、QLDとSAでは登録と一緒に払う。
- 登録の期限までに、CTPと登録の両方を済ませる。
VIC、WA、TAS、NTでは、登録の費用を払えばCTPにあたる保険料も払ったことになります。
事故にあったとき
けがの補償の請求方法や期限は州・準州ごとに違います。たとえばTASのMAIBは、警察への届け出、事故の通知、12か月以内の給付申請という流れを案内しています。請求の方法は、事故が起きた州の当局のページで案内されています。
費用
2026年10月時点で公式ページから確認できた例です。
- TAS:乗用車のMAIB保険料は年A$305(込み)で、これに年A$20の印紙税がかかると案内されています(Transport Tasmaniaのページ(新しいタブで開く))。
- NT:登録料にMAC保険が含まれます。たとえば4気筒・1,501〜2,000ccの乗用車の12か月の登録料は、MAC保険を含めてA$849.25です(NT政府のページ(新しいタブで開く))。
- それ以外の州の保険料は、車の種類や地域、保険会社で変わるため、各州の当局のページで確かめる必要があります。
日本とのちがいと注意点だよ!
- 日本の自賠責との共通点:日本の自賠責保険も、物損事故は補償せず、対人の損害賠償だけが対象です(国土交通省のページ(新しいタブで開く))。オーストラリアのCTPも、車や物の損害は補償しません。
- 州によって仕組みがまったく違う:保険会社を選ぶ州と、州の機関が一括で運営する州があります。事故を起こした側のけがが補償されるかどうかも州で違います。
- 他の州での事故:ACTの当局は、ACT登録の車で他の州で事故にあった場合、自分のけがの補償は事故が起きた州の仕組みによると説明しています。旅行で他の州を走るときは、医療保険や旅行保険の内容も見直しておくと安心です。
- 車の修理は自己負担になりうる:CTPだけでは、車の損害はすべて自己負担。備えるなら任意の車両保険です。
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