多文化社会(Multicultural Australia)
オーストラリアでは人口の約3分の1が海外生まれです。統計局(ABS)の推計では、2025年6月時点で海外生まれの人は880万人(32.0%)で、出生国はインド、イングランド、中国、ニュージーランドの順に多くなっています。家庭で英語以外の言語を使う人の割合や、政府の多文化政策の考え方をまとめました。
海外で生まれた人
統計局(Australian Bureau of Statistics、ABS)の「Australia’s population by country of birth, Jun 2025(新しいタブで開く)」(2026年4月29日公表)の、2025年6月30日時点の数字は次のとおりです。
- 人口2,760万人のうち、オーストラリア生まれが1,880万人、海外生まれが880万人です。
- 海外生まれの人の割合は32.0%で、2024年の31.5%から上がりました。
海外生まれの人が多い出生国は次のとおりです(2025年6月30日時点の推計)。
| 順位 | 出生国 | 人数 | 人口に占める割合 |
|---|---|---|---|
| 1 | インド | 97万1,020人 | 3.5% |
| 2 | イングランド | 97万950人 | 3.5% |
| 3 | 中国 | 73万1,540人 | 2.6% |
| 4 | ニュージーランド | 63万7,680人 | 2.3% |
| 5 | フィリピン | 41万2,530人 | 1.5% |
| 6 | ベトナム | 32万6,630人 | 1.2% |
| 7 | 南アフリカ | 22万9,950人 | 0.8% |
| 8 | ネパール | 21万3,580人 | 0.8% |
| 9 | スリランカ | 18万4,800人 | 0.7% |
| 10 | マレーシア | 18万4,320人 | 0.7% |
ABSは、インド生まれの人が最も多くなったのは記録のある中で初めてだとしています。中国の数字には香港・マカオ(特別行政区)と台湾を含みません。
移り変わり
出生国の記録がある最も古い1891年には、人口の32%が海外生まれでした。その後、2つの世界大戦と世界恐慌で移住が減り、1947年には10%まで下がりました。第二次世界大戦後の移民の受け入れで、割合は再び上がりました。
国立博物館(National Museum of Australia)(新しいタブで開く)の説明では、1901年から続いた人種による移民の制限(白豪主義)は、1966年の制度の変更で大きく見直されました。1973年に連邦政府は白豪主義を正式に放棄し、多文化主義の政策を取り入れました。
家庭で使う言語(2021年国勢調査)
言語の統計は、5年前の2021年国勢調査(Census)の結果が最新です。ABSの「Cultural diversity of Australia」では、2021年に580万人(22.8%)が家庭で英語以外の言語を使っていました。
| 順位 | 家庭で使う言語(英語以外) | 人数 | 人口に占める割合 |
|---|---|---|---|
| 1 | 北京語(Mandarin) | 68万5,274人 | 2.7% |
| 2 | アラビア語 | 36万7,159人 | 1.4% |
| 3 | ベトナム語 | 32万758人 | 1.3% |
| 4 | 広東語 | 29万5,281人 | 1.2% |
| 5 | パンジャブ語 | 23万9,033人 | 0.9% |
同じ調査で、自分の祖先(ancestry)として多く答えられたのは、イングランド系(33.0%)、オーストラリア系(29.9%)、アイルランド系(9.5%)、スコットランド系(8.6%)、中国系(5.5%)でした。1人2つまで答えられるため、合計は100%を超えます。
2026年8月に行われた国勢調査の結果は、2027年6月から公表される予定です。
政府の多文化政策
内務省(Department of Home Affairs)の多文化問題のページ(新しいタブで開く)は、文化や言語の背景にかかわらず、すべての人が地域社会に参加し、社会に貢献し、居場所があると感じられる機会を持つべきだとしています。多文化の多様性は国の特徴の基本的な一部だと説明しています。
政府は、多文化の枠組みの見直し(Multicultural Framework Review)の報告書「Towards Fairness – a multicultural Australia for all」が示した3つの原則に取り組むとしています。
| 原則 | 内容(内務省の説明の要約) |
|---|---|
| つながり(Connection) | 3つのレベルの政府と地域社会の間の、指導力・計画・説明責任の土台づくり |
| アイデンティティと帰属(Identity and belonging) | 英語教育、市民権の政策、芸術・文化・スポーツ・メディアへの参加を通じた受け入れ |
| 包摂(Inclusion) | 公共サービスの文化への対応力、補助金制度の見直し、デジタルへのアクセス、言語サービス、若者や地方の必要への対応 |
この見直しは2023年6月2日に始まり、報告書は2024年7月4日に公表されました。政府の多文化に関する声明(Multicultural Statement)は、2026年10月時点で見直し中とされています。
英語とほかの言語
内務省の市民権テストの学習用資料(新しいタブで開く)は、オーストラリアの国語は英語だと説明しています。同時に、100を超える先住民の言語を含め、ほかの言語も大切にされているとしています。言語の話は「オーストラリアの英語」にまとめています。
通訳サービス
内務省の翻訳通訳サービス(Translating and Interpreting Service、TIS National(新しいタブで開く))は、英語が十分に話せない人と、その人に対応する機関や企業のための通訳サービスです。電話通訳は24時間利用でき、150を超える言語に対応しています。電話番号は131 450。使い方は「無料の通訳サービス(TIS National)」で扱っています。
日本とのちがいと注意点だよ!
- 総務省統計局の人口推計(新しいタブで開く)では、日本の外国人人口は2026年4月1日時点(確定値)で391万7千人です。日本の統計は「国籍」、この記事のオーストラリアの数字は「出生国」で数えているので、そのまま比べることはできません。
- 海外生まれの人の割合は、統計によって違います。この記事の32.0%はABSの推計(2025年6月30日時点)です。国勢調査の回答をそのまま数えた数字(2021年は27.6%)とは数え方が違います。
- 職場や学校、近所には、さまざまな国の出身の人がいます。家庭で使う言語や宗教、祝う行事も人によって違います。
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