連邦・州・地方の役割(Three levels of government)
ひとことで言うと
オーストラリアの政府は、連邦(国)、州・準州、地方(カウンシル)の3段階です。国防・移民・通貨などは連邦、学校・病院・警察・公共交通などは州・準州、ごみ収集・地域の道路・図書館などはカウンシルが主に担当します。困りごとの窓口を探すときは、どの段階の担当かを確認します。
政府の3つの段階
オーストラリアの政府は3つの段階に分かれ、協力して行政サービスを提供しています(議会教育局(PEO)のページ(新しいタブで開く))。
| 段階 | 議会など | 法律 |
|---|---|---|
| 連邦(federal) | 連邦議会(上院76人・下院150人) | 国全体の法律 |
| 州・準州(state / territory) | 6つの州議会と2つの準州議会 | その州・準州の法律 |
| 地方(local) | 500を超えるカウンシル(council) | 地域の条例(by-law) |
18歳以上のオーストラリア人は、それぞれの段階の代表を選挙で選びます。
連邦の担当
連邦議会がつくれる法律の分野は、憲法の第51条と第52条に書かれています。第51条だけで39の分野があり、主な例は次のとおりです。
- 国防、外交、移民、市民権
- 通貨、銀行、保険、課税
- 郵便・電気通信
- 年金・福祉の給付、
- 国勢調査と統計
- 結婚と離婚
この中には、連邦だけが法律をつくれる分野(例:国防、通貨)と、州・準州と共有する分野があります。連邦と州の法律が食い違うときは、憲法第109条により、食い違う部分は連邦の法律が優先されます。
州・準州の担当
憲法に連邦の担当として書かれていない分野は、原則として州の担当です。PEOは、次のような例を挙げています。
- 学校、病院、救急車
- 道路・鉄道、公共交通
- 電気・水道などの公共サービス
- 警察、刑務所
- 消費者問題、地域福祉
- 鉱業、農業、森林
分野ごとの分担の例
同じ分野でも、連邦と州・準州が分担していることがあります。
| 分野 | 連邦 | 州・準州 |
|---|---|---|
| 教育 | 大学 | 学校と教員、職業教育 |
| 医療 | 医師と薬への支払い | 病院 |
| 税金 | 所得税・法人税 | 印紙税(stamp duty)、給与税など |
| 環境 | 国際条約による義務(世界遺産など) | 自然環境の保護、開発の許可、廃棄物処理 |
| 結婚 | 誰が結婚できるかを決める | 婚姻の登録の方法を決める |
カウンシル(地方自治体)の担当
カウンシル(council)は、ミュニシパリティ(municipality)やシャイア(shire)とも呼ばれます。主な仕事は次のとおりです。
- 地域の道路、歩道、自転車道、道路標識と街灯
- ごみ収集とリサイクル
- 駐車
- 公園、運動場、プールなどの施設
- 図書館、美術館などの文化施設
- 保育、高齢者介護などのサービス
- 都市計画、建築の許可と検査
- 犬・猫の登録などのペットの管理
カウンシルは憲法に書かれておらず、各州の地方自治法に基づいてつくられ、州から権限を与えられています。そのため、カウンシルの条例は州の法律で覆されることがあります。
お金の集め方
| 段階 | 主な収入 |
|---|---|
| 連邦 | 所得税、物品・サービス税()、法人税など |
| 州・準州 | 印紙税、給与税、自動車登録料、土地税など。収入の約半分は、GSTの配分を含む連邦からのお金 |
| カウンシル | 不動産の所有者が払うレイツ(rates)、上下水道の料金、利用料、連邦・州・準州からの補助金 |
州・準州ごとの違い
州・準州の議会の形は次のとおりです。
| 州・準州 | 議会の院の数 | 政府の長 |
|---|---|---|
| ニューサウスウェールズ州(NSW) | 二院制 | 州首相(Premier) |
| ビクトリア州(VIC) | 二院制 | 州首相(Premier) |
| クイーンズランド州(QLD) | 一院制(立法議会、Legislative Assembly) | 州首相(Premier) |
| 西オーストラリア州(WA) | 二院制 | 州首相(Premier) |
| 南オーストラリア州(SA) | 二院制 | 州首相(Premier) |
| タスマニア州(TAS) | 二院制 | 州首相(Premier) |
| オーストラリア首都特別地域(ACT) | 一院制(立法議会) | 首席大臣(Chief Minister) |
| 北部準州(NT) | 一院制(立法議会) | 首席大臣(Chief Minister) |
ACTの議会は、州と地方の両方の役割を担っています。準州の法律は、連邦議会が覆すことができます(憲法第122条)。
日本との違い・注意点
- 州・準州は、それぞれ独自の憲法・議会・法律を持っています(連邦議会のInfosheet 20(新しいタブで開く))。学校、病院、警察、公共交通などの決まりは、州・準州ごとに違うことがあります。
- 困りごとの窓口を探すときは、どの段階の担当かを考えると見つけやすくなります。たとえば、ごみ収集や駐車はカウンシル、公立病院や公共交通は州・準州、メディケアや移民は連邦です。
- 州・準州の一覧は「州と準州」にまとめています。
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政治の仕組み憲法(Australian Constitution)オーストラリアの憲法は1901年1月1日に施行され、6つの植民地を1つの国にしました。議会・政府・裁判所の仕組みと、連邦と州の権限の分け方を定めています。改正には国民投票で「二重の過半数」が必要で、これまでに8回改正されています。政治の仕組み裁判所の仕組み(Courts in Australia)オーストラリアの裁判所は、連邦の裁判所と、州・準州の裁判所に分かれます。最上位は高等裁判所(High Court)で、憲法の解釈と、各地の裁判所からの上告を扱います。家族法や移民の事件は連邦の裁判所、多くの刑事・民事の事件は州・準州の裁判所が扱います。政治の仕組み国家元首と総督(The King and the Governor-General)オーストラリアは立憲君主制の国で、国王はチャールズ3世です。総督(Governor-General)は国王の代理として、法案への裁可、選挙の開始、首相の任命などを行います。総督は、慣例により首相や大臣の助言に従って行動します。
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