憲法(Australian Constitution)
ひとことで言うと
オーストラリアの憲法は1901年1月1日に施行され、6つの植民地を1つの国にしました。議会・政府・裁判所の仕組みと、連邦と州の権限の分け方を定めています。改正には国民投票で「二重の過半数」が必要で、これまでに8回改正されています。
憲法とは
憲法(Australian Constitution)は、オーストラリアを運営するためのルールです(議会教育局(Parliamentary Education Office、PEO)の紹介ページ(新しいタブで開く))。
成り立ち
1901年より前、オーストラリアは6つの英国の植民地に分かれていました。
- 1890年代に、植民地の代表が集まり、新しい国をつくることを話し合いました。
- 「憲法会議(constitutional convention)」で、憲法の案がつくられました。
- 各植民地で住民投票が行われ、憲法の案が承認されました。
- 案は英国議会に送られ、1900年7月9日に法律(Commonwealth of Australia Constitution Act 1900)として成立しました。
- 憲法は1901年1月1日に施行され、オーストラリアは1つの国になりました。
憲法が定めていること
PEOが挙げる、憲法の主な中身は次のとおりです。
- 連邦議会のしくみと、議会が法律をつくれる分野
- 連邦と州の権限の分け方
- 政府と高等裁判所(High Court)の役割
- 国会議員を選挙で選ぶこと(代表民主制)
- オーストラリアが立憲君主制(constitutional monarchy)であること
憲法は8つの章からなり、各章は条(section)に分かれています。
| 章 | 内容 |
|---|---|
| 第1章 | 議会(The Parliament) |
| 第2章 | 行政(The Executive Government) |
| 第3章 | 司法(The Judicature) |
| 第4章 | 財政と貿易(Finance and Trade) |
| 第5章 | 州(The States) |
| 第6章 | 新しい州(New States) |
| 第7章 | その他(Miscellaneous) |
| 第8章 | 憲法の改正(Alteration of the Constitution) |
最初の3つの章が、議会・行政・司法の3つの権力を定めています。
憲法の解釈
憲法をめぐって意見が分かれたときは、高等裁判所が公式の解釈を示し、争いを判断します。裁判所の仕組みは「裁判所の仕組み」で説明しています。
権利の保護
PEOの説明では、憲法で守られている権利は一部で、ほかの権利は連邦議会や州・準州の議会がつくった法律で守られています。
手順
憲法を改正するには、国民投票(referendum)が必要です。PEOは、次の流れで説明しています。
- 改正の法案が議会に提出され、下院と上院で絶対多数により可決される。
- 改正に賛成する議員が「賛成(YES)」の主張を、反対する議員が「反対(NO)」の主張をまとめる。
- オーストラリア選挙管理委員会(AEC)が、両方の主張を説明する冊子を作って送る。
- 国民投票で、全国の過半数と、4つ以上の州それぞれの過半数が賛成する。
- 総督が法案に署名し、憲法が改正される。
二重の過半数(double majority)
改正が成立するには、次の両方が必要です。
- 全国の投票者の過半数が賛成する
- 6つの州のうち、少なくとも4つの州で、投票者の過半数が賛成する
ACT、NTなどの準州の票は、全国の過半数にだけ数えられます。
費用
国民投票で投票するのに費用はかかりません。
日本との違い・注意点
- AECの記録では、これまでに45の改正案が国民投票にかけられ、可決されたのは8つです(AECの国民投票の結果(新しいタブで開く))。PEOも、1901年以降の改正は8回だとしています。
- 最近の国民投票の結果は次のとおりです。
| 年 | 内容 | 結果 | 賛成の割合 |
|---|---|---|---|
| 1967年 | 先住民についての法律をつくれるようにし、人口の数え方の除外をなくす | 可決(全州で賛成多数) | 90.77% |
| 1999年 | 共和制への移行 | 否決 | 45.13% |
| 2023年 | 先住民の代表機関「ボイス」を設ける | 否決 | 39.94% |
- 連邦選挙と国民投票では、資格のあるオーストラリア市民の登録と投票が法律で義務づけられています。罰金などは「義務投票制」にまとめています。
- PEOは、憲法には、ニュージーランドがオーストラリアの州として加わることができるという規定があると紹介しています。
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政治の仕組み法律ができるまで(How laws are made)連邦の法律は、法案(bill)として議会に出され、下院と上院の両方で同じ形で可決された後、総督の裁可(Royal Assent)を受けて「議会制定法(Act of Parliament)」になります。多くの法案は政府の大臣が下院に出します。政治の仕組み連邦議会(下院と上院、Parliament of Australia)連邦議会は、国王(総督が代理)と、下院(150人)・上院(76人)の2つの院からなります。法案は両院で可決され、総督の裁可を受けて法律になります。下院の任期は最長3年、州選出の上院議員の任期は6年で、3年ごとに半数が改選されます。政治の仕組み首相と内閣(Prime Minister and Cabinet)首相(Prime Minister)は連邦政府の長で、下院の多数の支持を得た政党(または政党の連合)の議員の投票で選ばれます。首相と内閣(Cabinet)は憲法には書かれていない、慣例による仕組みです。内閣は首相と約20人の大臣からなり、政府の政策を決めます。
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政治の仕組み政治の仕組み(Australian system of government)オーストラリアは6つの州と2つの準州からなる連邦国家で、国王を元首とする立憲君主制です。下院で多数の支持を得た政党(または連合)が政府をつくり、その党首が首相になる議院内閣制をとっています。法律をつくる議会、法律を実行する政府、法律を解釈する裁判所に権力が分けられています。政治の仕組み連邦・州・地方の役割(Three levels of government)オーストラリアの政府は、連邦(国)、州・準州、地方(カウンシル)の3段階です。国防・移民・通貨などは連邦、学校・病院・警察・公共交通などは州・準州、ごみ収集・地域の道路・図書館などはカウンシルが主に担当します。困りごとの窓口を探すときは、どの段階の担当かを確認します。政治の仕組み国家元首と総督(The King and the Governor-General)オーストラリアは立憲君主制の国で、国王はチャールズ3世です。総督(Governor-General)は国王の代理として、法案への裁可、選挙の開始、首相の任命などを行います。総督は、慣例により首相や大臣の助言に従って行動します。政治の仕組み裁判所の仕組み(Courts in Australia)オーストラリアの裁判所は、連邦の裁判所と、州・準州の裁判所に分かれます。最上位は高等裁判所(High Court)で、憲法の解釈と、各地の裁判所からの上告を扱います。家族法や移民の事件は連邦の裁判所、多くの刑事・民事の事件は州・準州の裁判所が扱います。政治の仕組み国民投票(憲法改正、Referendum)憲法を変える唯一の方法が国民投票(referendum)です。議会で可決された改正案に、全国の過半数と、6州のうち4州以上の過半数の賛成(二重の過半数)が必要です。連邦の結成以来45の案が国民投票にかけられ、可決されたのは8つです。基礎知識1967年の国民投票(1967 Referendum)1967年5月27日の国民投票で、先住民についての憲法の2つの規定を変える案が、全国の90.77%の賛成と全6州の賛成で可決されました。連邦が先住民についての法律をつくれるようになり、人口の数から先住民を除く規定がなくなりました。基礎知識1999年の共和制の国民投票(1999 Republic Referendum)1999年11月6日、オーストラリアを共和制にする案と、憲法に前文を入れる案の2つが国民投票にかけられ、どちらも否決されました。共和制の案は全国の賛成が45.13%で、過半数の賛成があったのはACTだけでした。