国家元首と総督(The King and the Governor-General)
オーストラリアは立憲君主制の国で、国王はチャールズ3世です。総督(Governor-General)は国王の代理として、法案への裁可、選挙の開始、首相の任命などを行います。総督は、慣例により首相や大臣の助言に従って行動します。
立憲君主制のしくみ
オーストラリアは立憲君主制(constitutional monarchy)の国です。国王(the King)の権限は、憲法で定められ、制限されています(議会教育局(PEO)の国王のページ(新しいタブで開く))。国王が元首で、総督がオーストラリア国内で国王の代わりを務めます。
| 項目 | 国王(the King) | 総督(Governor-General) |
|---|---|---|
| 今の人 | オーストラリア国王チャールズ3世(His Majesty King Charles III) | サム・モスティン(Sam Mostyn) |
| なり方 | 世襲。国王が亡くなるか退くと、最年長の子が次の国王になる | 首相の助言に基づき、国王が任命する |
| 任期 | なし | 決まった任期はない。通常は5年 |
| 主な役割 | 総督を任命する | 憲法上の仕事、儀式、国防軍の最高指揮官、地域社会との交流 |
総督の名前と任期の扱いは、PEOの総督のページによります。
国王の役割
国王は日々の国の運営には関わらない、とPEOは説明しています。
- 憲法第1条により、連邦議会は、国王(総督が代理)、上院、下院からなります。
- 国王は法律をつくる権限を持ちません。
- 憲法第59条により、国王は、総督が裁可した法律を1年以内に取り消すことができます。ただし、この権限が使われたことはありません。
総督府のページも、憲法のもとで国王が行う唯一の行為は、首相の助言に基づいて総督を任命することだとしています(総督府のページ(新しいタブで開く))。
総督の役割
総督は、オーストラリアでの国王の代理です。総督府とPEOは、総督の仕事を次のように説明しています。
| 種類 | 主な仕事 |
|---|---|
| 憲法上の仕事 | 議会で可決された法案に裁可(Royal Assent)を与える、議会を解散して選挙を始める、議会の会期を決める、首相と大臣を任命する、連邦行政評議会(Federal Executive Council)の議長を務める |
| 儀式 | 新しい議会の開会での演説、首相・大臣・裁判官などの宣誓、オーストラリア勲章などの授与、外国の大使の信任状の受け取り |
| 国防 | オーストラリア国防軍の最高指揮官(Commander-in-Chief) |
| 地域社会 | 各地を訪れ、地域に貢献する人々をたたえる |
総督が法案への裁可を拒んだことはなく、法案の修正を勧めることはできる、というのがPEOの説明です。
助言に従う慣例
総督は、首相と大臣の助言に従って行動するのが慣例(convention)です。大臣は議会に、そして選挙を通じて国民に責任を負っているためです。総督は、首相や大臣に代わって決定する権限を持ちません。
留保権限(reserve powers)
まれな場合に、総督は「留保権限」を使うことができます。憲法に書かれたものではなく、長い慣例から来ています。使われたのは数回だけです。PEOは、次の例を挙げています。
- 選挙で結果がはっきりしないときに首相を任命する
- 下院の多数の支持を失った首相を解任する
- 首相からの選挙の要請を断る
- 両院の同時解散の要請を断る
- 法律に違反した首相や大臣を解任する
州・準州ごとの違い
総督府のページでは、州には州総督(Governor)、北部準州には行政官(Administrator)がいて、勲章の授与など総督と似た役割を果たすとされています。各州・準州の代表の詳しい役割は、それぞれの公式ページにあります。
日本との違い・注意点
- 1999年には、総督と国王を、議会の3分の2の多数で選ぶ大統領に置き換える共和制の案が国民投票にかけられました。結果は否決(賛成45.13%)でした(AECの国民投票の結果(新しいタブで開く))。
- 国王の役割は憲法に書かれているため、変えるには国民投票が必要です。改正の手順は「憲法」で説明しています。
- 総督は、首相とは別の役職です。日々の国の運営に責任を持つのは首相(Prime Minister)と大臣です。首相の役割は「首相と内閣」にまとめています。
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