首相と内閣(Prime Minister and Cabinet)
首相(Prime Minister)は連邦政府の長で、下院の多数の支持を得た政党(または政党の連合)の議員の投票で選ばれます。首相と内閣(Cabinet)は憲法には書かれていない、慣例による仕組みです。内閣は首相と約20人の大臣からなり、政府の政策を決めます。
首相と内閣のしくみ
議会教育局(Parliamentary Education Office、PEO)の説明をもとに、連邦政府の首相と内閣の仕組みをまとめます。
政府のでき方
PEOの政府のページ(新しいタブで開く)の定義では、政府(government)は、下院(House of Representatives)の議員の過半数の支持を得た政党、または政党の連合(coalition)です。
| 形 | 内容 |
|---|---|
| 多数派政府(majority government) | 1つの政党か政党の連合が、自分たちだけで下院の過半数の議席を得る |
| 少数派政府(minority government) | 無所属や小政党の議員との合意で、過半数の支持を得る |
政府は、下院の過半数の支持がある限り政府であり続けます。政府の議員は国会議員でなければなりません。これは「責任政府(responsible government)」の考え方の一部です。大臣にならない政府の議員は、「バックベンチャー(backbencher)」と呼ばれます。
首相(Prime Minister)
PEOの首相のページのとおり、首相はオーストラリア政府の長です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 選ばれ方 | 政府の政党の議員の投票で選ばれる |
| 所属する院 | 慣例により、上院議員ではなく、必ず下院議員 |
| 憲法 | 首相という役職は憲法に書かれていない |
| 続けられる期間 | 国会議員であり、必要な支持がある限り |
| 不在のとき | 海外にいるときや休みのときは、副首相(Deputy Prime Minister)が首相代行になる |
PEOは、首相の主な仕事として次を挙げています。
- 政府を代表して発言する
- 政府の議員の中から大臣を選ぶ
- 内閣を率いて政府の政策を決める
- 政府が政策や法案を話し合う会議の議長を務める
- 海外でオーストラリア政府を代表する
下院では、首相は政府側の議席の前にある中央のテーブルに座ります。2026年10月時点の首相は、アンソニー・アルバニージー(Anthony Albanese)です。
内閣(Cabinet)
PEOの内閣のページでは、内閣を政府の最上位のメンバーの集まりとしています。
- 構成:首相と約20人の大臣
- 役割:政府の政策をつくり、国の課題について決定する
- 首相が議長を務め、内閣の運営に強い影響力を持つ
- ふつう毎週のように定期的に開かれ、1回の会議は数時間
- 大臣は、政策の案や、省庁が用意した法案を説明する
- 内閣も、憲法には書かれていない
内閣の連帯と秘密
PEOの説明では、内閣が決めたことは、内閣のすべての大臣が公に支持するものとされます。これを「内閣の連帯(Cabinet solidarity)」と呼びます。
内閣は機密や秘密の事柄を話し合うため、厳しい警備のもとで開かれ、携帯電話やコンピューターは使えません。会議の記録は作られますが、20年間公開されません。
野党党首(Leader of the Opposition)
PEOの野党党首のページにあるように、野党(opposition)は、政府ではない政党(または政党の連合)のうち最も大きいものです。
- 野党党首は、その党の議員が選びます。
- 野党党首は、自分の党(または連合)の議員の中から「影の大臣(shadow minister)」を選びます。
- 下院では、中央のテーブルをはさんで首相の向かいに座ります。
日本との違い・注意点
- 首相は、総督(Governor-General)とは別の役職です。総督と国王の役割は「国王と総督」で説明しています。
- 州政府の長は「州首相(Premier)」、準州政府の長は「首席大臣(Chief Minister)」です(「州・準州の政府」)。
- 首相や大臣の名前は、選挙や党内の選出で変わります。最新の情報は連邦議会や政府の公式ページにあります。
- 政治の仕組み全体は「政治の仕組み」、議会は「連邦議会(下院と上院)」にまとめています。
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