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裁判所の仕組み(Courts in Australia)

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ひとことで言うと

オーストラリアの裁判所は、連邦の裁判所と、州・準州の裁判所に分かれます。最上位は高等裁判所(High Court)で、憲法の解釈と、各地の裁判所からの上告を扱います。家族法や移民の事件は連邦の裁判所、多くの刑事・民事の事件は州・準州の裁判所が扱います。

目次
  1. 司法と連邦の裁判所
  2. 州・準州ごとの違い
  3. 費用
  4. 日本との違い・注意点

司法と連邦の裁判所

法律をつくる権限は議会、法律を実行する権限は政府、法律を解釈して判断する権限は裁判所(司法、Judiciary)にあります(議会教育局(PEO)のページ(新しいタブで開く))。

PEOは、議会と裁判所の独立を次のように説明しています。

  • 議会は法律をつくれますが、法律が破られたかどうかは判断できません。
  • 議会は、裁判官の判断が気に入らないという理由で裁判官を辞めさせることはできません。
  • 高等裁判所の裁判官の給料を、議会が下げることはできません。
  • 高等裁判所は、議会の法律が憲法に反すると判断して、無効にすることができます。

連邦の裁判所

裁判所主な役割
高等裁判所(High Court of Australia)国の最上位の裁判所。憲法の解釈、連邦・州・準州の裁判所からの上告
連邦裁判所(Federal Court of Australia)連邦法に基づくほとんどの民事事件と、一部の刑事事件
連邦巡回・家庭裁判所 第1部(Federal Circuit and Family Court of Australia (Division 1))家族法の専門の裁判所。最も複雑な家族法の事件と上訴
連邦巡回・家庭裁判所 第2部(Federal Circuit and Family Court of Australia (Division 2))家族法、移民、労働、破産などの連邦法の事件

高等裁判所

高等裁判所は、憲法第71条に基づき、1903年に設けられました(高等裁判所のページ(新しいタブで開く))。

  • 所在地はキャンベラです。シドニーとメルボルンにも事務所(Registry)があります。
  • 憲法の解釈などの重要な事件は、裁判官7人全員で審理するのが通常です。
  • 仕事の多くは、ほかの裁判所の判断に対する上告です。上告は自動的には認められず、特別な理由があると裁判所に認めてもらう必要があります(特別許可、special leave)。
  • 高等裁判所の判断は最終的なもので、国内のすべての裁判所を拘束します。

連邦裁判所

連邦裁判所は、1976年の法律でつくられました(連邦裁判所のページ(新しいタブで開く))。すべての州都で開かれます。主な分野は次のとおりです。

  • 破産、競争法、消費者保護、会社法、知的財産、税、労働(Fair Work)
  • 先住権(native title)の申し立て
  • 社会保障や移民など、連邦政府の決定の司法審査(judicial review)
  • 連邦巡回・家庭裁判所 第2部の、家族法以外の事件の上訴

連邦巡回・家庭裁判所

2021年の法律(Federal Circuit and Family Court of Australia Act 2021)のもとで、第1部と第2部の2つの裁判所があります(連邦巡回・家庭裁判所のページ(新しいタブで開く))。

項目第1部第2部
前身家庭裁判所(Family Court of Australia)連邦巡回裁判所(Federal Circuit Court of Australia)
扱う事件家族法家族法、移民、労働、破産、知的財産、消費者法、人権、行政法など
裁判官の数35人87人

第2部では、家族法の次に多いのが移民の事件です。移民と一般の連邦法の事件の上訴は、連邦裁判所が扱います。

州・準州ごとの違い

州・準州には、それぞれの裁判所があります。州の公式ページで確認できた主な裁判所は次のとおりです。

州・準州主な裁判所
ニューサウスウェールズ州(NSW)最高裁判所(Supreme Court、州で最上位)、地方裁判所(District Court、中間)、ローカル裁判所(Local Court)。ほかに土地環境裁判所、児童裁判所など
ビクトリア州(VIC)最高裁判所(Supreme Court、州で最上位)、カウンティ裁判所(County Court、中間)、治安判事裁判所(Magistrates’ Court)。ほかに児童裁判所、検死官裁判所など
クイーンズランド州(QLD)最高裁判所(Supreme Court)、地方裁判所(District Court)、治安判事裁判所(Magistrates Court)など
西オーストラリア州(WA)州の公式ページで確認
南オーストラリア州(SA)最高裁判所(Supreme Court)、地方裁判所(District Court)、治安判事裁判所(Magistrates Court)など
タスマニア州(TAS)州の公式ページで確認
オーストラリア首都特別地域(ACT)準州の公式ページで確認
北部準州(NT)準州の公式ページで確認

NSWはNSWの裁判所のページ(新しいタブで開く)、VICはビクトリア州の裁判所のページ(新しいタブで開く)、QLDはクイーンズランド州の裁判所のページ(新しいタブで開く)、SAは南オーストラリア州の裁判所のサイト(新しいタブで開く)によります。

州の裁判所の役割の例

NSWとVICの公式ページでは、事件の重さや金額によって裁判所が分かれています(2026年10月時点)。

州下級の裁判所中間の裁判所最高裁判所
NSWローカル裁判所:A$100,000までの民事、多くの刑事事件。すべての刑事事件はここから始まる地方裁判所:A$100,001〜A$1,250,000の民事、殺人などを除く重い刑事事件A$1,250,000を超える民事、殺人など最も重い刑事事件
VIC治安判事裁判所:多くの場合A$100,000までの民事、比較的軽い刑事事件。州の事件の約90%を扱うカウンティ裁判所:A$100,000を超える民事、重い刑事事件A$200,000以上の民事、殺人など非常に重い刑事事件。控訴部(Court of Appeal)がある

審判所(tribunal)

賃貸のトラブルなどは、裁判所ではなく審判所が扱うことがあります。NSWの民事行政審判所(NCAT)は、賃貸や建築工事の問題、行政の決定の見直しなどを扱います。VICの民事行政審判所(VCAT)には、民事、行政、人権、都市計画、住宅賃貸などの部門があります。

費用

裁判の費用は裁判所や手続きによって違い、各裁判所の公式ページに載っています。

日本との違い・注意点

  • 家族法の事件は、連邦巡回・家庭裁判所が扱います。西オーストラリア州には家族法の治安判事(Family Law Magistrates)がいて、その判断に対する上訴は第1部が扱います。
  • 移民の決定に関する事件の多くは、連邦巡回・家庭裁判所 第2部が扱います。
  • 裁判所の判断が積み重なってできる法は「コモン・ロー(common law)」と呼ばれます。議会のつくった法律は、コモン・ローに優先します。
  • 自分の事件について判断が必要なときは、弁護士に相談してください。無料の相談先は「無料の法律相談」にまとめています。

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