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先住権(Native title)

ひとことで言うと

先住権(ネイティブ・タイトル)は、アボリジナルとトレス海峡諸島民が、伝統的な法と慣習にもとづいて土地に持つ権利を、オーストラリアの法律が認めたものです。1992年のマボ判決で認められ、1993年の先住権法(Native Title Act 1993)で申し立ての仕組みがつくられました。

目次
  1. マボ判決
  2. 先住権法と審判所
  3. 申し立ての流れ
  4. 日本との違い・注意点

マボ判決

1992年6月3日、高等裁判所(High Court of Australia)は、エディ・マボ(Eddie Mabo)らトレス海峡諸島民のメリアム(Meriam)の人々が、メール島(Mer、マレー島)の伝統的な所有権を持つと認めました(国立博物館のマボ判決のページ(新しいタブで開く))。

国立博物館がまとめた判決のポイントは、次の4つです。

  • 7人の裁判官のうち6人が、メリアムの人々の伝統的な所有権を認めた
  • 先住権がすべての先住民に存在しうると判断した
  • 先住権は、法的に消滅していない土地に今も存在するとした
  • 土地を「誰のものでもない」とみなした「テラ・ヌリウス(terra nullius)」の考え方は、法的な作り話になった

訴えは1982年5月に起こされ、判決まで10年かかりました。原告5人のうち、マボを含む3人は判決の時点ですでに亡くなっていました。

国立博物館の説明では、判決は、先住権の申し立てが空いている国有地(Vacant Crown land)、国立公園、一部の賃借地などに限られるとしています。また、国が与えた権利と先住権がぶつかる場合は、国の権利が優先されます。

先住権法と審判所

判決の翌年、1993年に先住権法(Native Title Act 1993)が成立し、1994年1月1日に始まりました。全国先住権審判所(National Native Title Tribunal、NNTT)のページ(新しいタブで開く)では、この法律は全国の先住権の仕組みをつくり、次のことを目的としています。

  • 先住権を認め、守る
  • 先住権の申し立てを判断する仕組みをつくる
  • 先住権に影響する将来の土地の利用(Future acts)の進め方を決める

先住権と土地の権利(Land rights)の違い

連邦の法務省(Attorney-General’s Department)の説明では、先住権のもとは、それぞれの先住民の人々の伝統的な法と慣習です。そのため、先住権の中身は地域の共同体ごとに違います。

先住権(Native title)土地の権利(Land rights)
もとになるもの前からあった伝統的な法と慣習にもとづく権利を、コモン・ロー(判例法)が認めたもの連邦・州・準州の政府がつくった権利
政府が与えるものか与えるものではない与えるもの。自由保有権や永久の賃借権の形が多い

全国先住権審判所(NNTT)

NNTTは、先住権法でつくられた独立の機関です。主な仕事は、連邦裁判所(Federal Court of Australia)から回された先住権の事件の調停、先住民土地利用協定(Indigenous Land Use Agreement、ILUA)の交渉の手助け、記録簿の管理などです。NNTTは、この法律は先住民のための「特別措置」であり、すべての人の和解を進めることを目指しているとしています。

申し立ての流れ

NNTTの申し立てのページが示す流れです。

  1. 先住権を主張するグループから認められた人が、連邦裁判所に申し立て(Claimant application、Form 1)を出します。
  2. NNTTの登録官(Native Title Registrar)が、申し立てが法律の条件(登録テスト、Registration test)を満たすか審査します。条件には、グループの人々の説明、土地の範囲の地図、主張する権利の内容、土地との結びつきと伝統的な法・慣習を保ってきた事実の根拠などがあります。
  3. 条件を満たすと、先住権の申し立ての記録簿(Register of Native Title Claims)に登録されます。登録されると、交渉する権利などが生まれます。
  4. 先住権があるかどうかは、最終的に裁判所が判断します。判断には長い時間がかかることがあります。

先住権の決定は、全国先住権記録簿(National Native Title Register)に記録されます。高等裁判所、連邦裁判所などの決定が載っています。NNTTは、法律の助言や費用の援助はしていません。

日本との違い・注意点

  • 先住権は、先住民の人々と土地との伝統的なつながりにもとづく権利です。日本の土地の所有権とは考え方が違います。
  • ある場所に先住権があるかどうかは、NNTTの記録簿や地図(Native Title Vision)で調べられます。
  • 国立博物館のサイトには、亡くなった人の写真・声・名前が含まれることがあるという、先住民の人々への注意書きがあります。
  • 先住民の歴史の流れは「先住民の歴史」、和解の取り組みは「和解(Reconciliation)」を見てください。

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