先住民のアート(Aboriginal and Torres Strait Islander art)
先住民のアートには、岩絵、樹皮画、砂漠地域のアクリル画など、土地ごとに違う伝統があります。作品は土地や物語と結びついています。買うときは、作家本人、先住民が運営するアートセンター、Indigenous Art Code の会員から買うよう、連邦政府が案内しています。
代表的なアートの形
アボリジナルとトレス海峡諸島民のアートは、土地ごとに材料も技法も違います。以下は公的機関が紹介している代表的な例で、どれも「先住民のアート」のごく一部です。
岩絵(rock art)
北部準州(NT)のカカドゥ国立公園は、岩絵の遺跡が世界でも特に多く集まる場所です(カカドゥ国立公園のページ(新しいタブで開く))。
- 地元の言葉で、岩絵は「クンビム(kunbim)」と呼ばれます。
- 主な見どころは、ウビル(Ubirr)とブルンクイ(Burrungkuy、ノーランジー)です。
- 動物の絵、伝統的な「X線画法(x-ray art)」の絵、ヨーロッパ人との接触を描いた絵などがあります。
- 描くこと自体が絵よりも大切とされ、古い絵の上に新しい絵が重ねられることがよくあります。
- 一部の絵は、決まった知識を持つ人だけが描けるものでした。
- 岩絵の中には、2万年以上前のものもあります。
絵の具は、顔料を石の上で砕いて水と混ぜて作られました。筆には人の髪、葦、羽などが使われました。今は、樹皮や紙、キャンバスに描かれることが多くなっています。
樹皮画(bark painting)
アーネムランド(Arnhem Land、NTの北部)の樹皮画は、国立博物館(National Museum of Australia)が紹介している伝統の一つです(国立博物館の解説(新しいタブで開く))。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 地域による違い | 西部は動物などの具象的な絵が多く、東部は幾何学的なクランの模様が多い。中部は両方を組み合わせることが多い |
| 細い線の模様 | 西部では「ラーク(rarrk)」、東部では「ミニチ(miny’tji)」と呼ばれる |
| 色 | 赤や黄色の黄土(オーカー)、木炭、白い粘土 |
| 樹皮 | 雨季にユーカリの一種(stringybark)からはぎ、火で乾かして重しで平らにする |
模様は、人の髪で作った短い筆で細い線を重ねて描きます。儀式で体に描くのと同じ描き方です。
砂漠地域のアクリル画(パプニャ)
NTのパプニャ(Papunya)は、現代のアボリジナル・アートが生まれた場所として知られています。アリススプリングスから西に250kmの場所です。
- 1971年、パプニャの男性たちが、学校の教師ジェフリー・バードン(Geoffrey Bardon)の協力で、さまざまな素材に模様を描き始めました。
- 1972年、画家たちは自分たちの協同組合「パプニャ・トゥーラ・アーティスツ(Papunya Tula Artists)」をつくりました。
- 作品には、U字形、同心円、旅の道筋、鳥や動物の足跡などの記号が使われます。
国立博物館の解説では、同心円は野営地、水場、儀式の場所などを表すことがあります。同じ記号でも、意味は1つではありません。
手順
作品を買うときの流れです。連邦政府の芸術局(Office for the Arts)の本物の先住民の作品の買い方のページ(新しいタブで開く)に基づきます。
- 買う場所を選ぶ。芸術局は、次の3つを挙げています。
- 作家本人から
- 先住民が運営するアートセンター(Indigenous-owned art centre)から
- Indigenous Art Code の販売業者会員から
- 売り手に質問する。芸術局が挙げている質問は次のとおりです。
- 作家は誰ですか(Who is the artist?)
- 作家はどこの出身ですか(Where is the artist from?)
- 作家にはどのように支払われますか(How does the artist get paid?)
- 作品に物語はありますか(Is there a story with it?)
- 複製品の場合は、作家へのロイヤリティやライセンス料がどう支払われるかを確認する。
- 書類を確認する。A$250を超える作品(2026年10月時点)には、真正性の証明書(Certificate of Authenticity)が付いているべきだとされています。作家が作品を持っている写真は、証明書ではありません。
- 洋服や雑貨などの量産品は、ラベルや包装で、元のデザインをした作家と地域を確認する。
Indigenous Art Code の会員は、Indigenous Art Code のサイト(新しいタブで開く)で検索できます。
Indigenous Art Code とは
Indigenous Art Code(先住民アートの行動規範)は、業界の自主的な行動規範です。
- 先住民の視覚芸術の業界がつくり、2009年に始まりました。
- 先住民の作家と作品の取引を、公正で透明性があり倫理的なものにするための基準を定めています。
- 作家と取引する事業者は、審査を経て「コード署名会員(Code Signatory Member)」になります。会員は毎年更新が必要です。
- 会員の種類は、作家(Artist)、コード署名(Code Signatory)、コード支援(Code Supporter)の3つです。
Indigenous Art Code は、購入するときは署名会員を探すよう呼びかけています。購入先の事業者がどのような仕組みで作家と関わっているかを知ることも勧めています。
費用
作品の価格は、作家や作品によって違います。芸術局は、値切らないよう求めています。価格は作家自身が決めたもので、文化的な知識、技術、制作の時間が反映されているためです。
ここに注意してね!
- 芸術局は、本物でない作品の見分け方として、次の点を挙げています。
- 作家の名前が示されていない(海外で作られた、作家の名前のない雑貨などに注意)
- 正式な証明書ではなく、作家が作品を持つ写真で出どころを示そうとする
- 大きな値引きを持ちかける(値引き分を誰が負担しているのかという問題がある)
- 売り手が仕入れ方や作家との関係を説明せず、質問にも答えない場合は、買うのをやめる目安になると芸術局は案内しています。
- 岩絵の遺跡を訪れるときは、各国立公園の案内に従ってください。聖地での作法は「聖地を訪れるときの作法」にまとめています。
- 芸術局のページには、先住民の文化的・知的財産(Indigenous Cultural and Intellectual Property、ICIP)についての案内へのリンクがあります。先住民の模様やデザインを商品などに使う前に確認してください。
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