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先住民の文化 / 文化・マナー

アボリジナルとトレス海峡諸島民(Aboriginal and Torres Strait Islander peoples)

ひとことで言うと

オーストラリアの先住民は、アボリジナルの人々とトレス海峡諸島民という、文化の異なる2つの大きなグループからなります。それぞれの中に、言語・習慣・法の違う多くの民族や集団があります。ひとまとめにせず、その土地の人々の呼び方や考え方を尊重することが大切です。

目次
  1. オーストラリアの先住民
  2. 日本との違い・注意点

オーストラリアの先住民

オーストラリアの先住民は、アボリジナルの人々(Aboriginal peoples)とトレス海峡諸島民(Torres Strait Islander peoples)です。どちらも植民地化(colonisation)より前からこの大陸と島々に暮らしてきた、オーストラリアの最初の人々(First Peoples)です。その歴史は6万年以上にわたります。

国の研究機関であるオーストラリア先住民研究所(Australian Institute of Aboriginal and Torres Strait Islander Studies、AIATSIS)は、次の点を強調しています。

  • 2つのグループは、文化の異なる別々の人々です。
  • それぞれの中に、文化・言語・信仰・習慣の違う多くの民族(nation)や集団があります。
  • 全国に250を超える異なる言語グループがあります。

「先住民の文化」を1つのものとして説明することはできません。この記事は全体の基本だけをまとめています。

アボリジナルの人々

アボリジナルの人々は、タスマニアやほかの島を含むオーストラリア本土の全域にルーツがあります(AIATSISのページ(新しいタブで開く))。

自分をどう名乗るかは人によって違います。AIATSISは次のような例を挙げています。

名乗り方例
言語グループと伝統的な土地西ビクトリアのグンディッチマラ(Gunditjamara)の人々、シドニーのエオラ民族(Eora nation)のガディガル(Gadigal)の人々、西オーストラリア州ブルームのヤウル(Yawuru)の人々
地域のまとまりクーリ(Koori)、マリ(Murri)、ヌンガ(Nunga)など。州の境界とは一致しないことがある
暮らす環境海辺の「ソルトウォーター(saltwater)」、ほかに「フレッシュウォーター」「レインフォレスト」「デザート」など

国立公園にも、その土地の人々の呼び名があります。カカドゥ国立公園では、公園の北部の人々をビニンジ(Bininj)、南部の人々をムンギュイ(Mungguy)と呼びます(カカドゥ国立公園のページ(新しいタブで開く))。ウルル=カタ・ジュタ国立公園では、アナング(Aṉangu)の文化と作法が紹介されています(公園のページ(新しいタブで開く))。

トレス海峡諸島民

トレス海峡(Torres Strait)は、クイーンズランド州のケープ・ヨーク半島の先端とパプアニューギニアの間にあります。200を超える島があり、そのうち17の島に人が住んでいます。本土の北部にも、バマガ(Bamaga)とセイシア(Seisia)という2つのトレス海峡諸島民のコミュニティがあります。

トレス海峡諸島民は、一般に、出身の島・部族・家族・海の領域(sea country)で自分を名乗ります。本土で生まれ育った人も、故郷の島で名乗ることが多いです。自分たちを「ゼナス・ケス(Zenadth Kes)」と呼ぶこともあります。トレス海峡の言語で、この地域を通る4つの風の名前を合わせた言葉です。

トレス海峡には、アボリジナルのカウラレグ民族(Kaurareg Nation)が伝統的に暮らしてきた島もあります。

今の暮らし

アボリジナルとトレス海峡諸島民の人々は、都市・地方・遠隔地のどこにでも暮らしています。伝統的な土地や島に住んでいるとは限りません。どこに住んでいても、その人のアイデンティティは文化的・先祖のふるさとにつながっています。

AIATSISは、外見で判断しないことも求めています。ほかの人々と同じように、肌や髪の色、背の高さなどは人それぞれです。

「カントリー(Country)」という考え方

アボリジナルの人々は、自分たちがつながっている土地・水路・海を「カントリー(Country)」と呼ぶことがあります。この言葉には、法、場所、習慣、言語、信仰、文化、家族、アイデンティティといった考えが含まれます。英語では大文字のCで書きます。

先住民の地図

AIATSISは「オーストラリア先住民の地図(Map of Indigenous Australia)」を公開しています。言語・社会・民族のグループのおおよその場所を示したものです。

  • 1994年までに出版された資料をもとに、1996年に作られました。
  • 境界はわざとぼかしてあり、正確なものではありません。
  • 一部の情報には、伝統的な管理者(traditional custodians)が同意していないものもあります。
  • 先住権(native title)などの土地の申し立てには使えません。

3つの公式の旗

オーストラリアには、国旗、アボリジナルの旗、トレス海峡諸島民の旗の3つの公式の旗があります(Reconciliation Australiaのページ(新しいタブで開く))。2つの先住民の旗は、1995年に連邦の法律で公式の旗になりました。

旗デザインした人色の意味
アボリジナルの旗中央オーストラリアのルリチャ(Luritja)の男性、ハロルド・トーマス(Harold Thomas)黒=アボリジナルの人々、黄=太陽、赤=赤い大地と土地との精神的なつながり
トレス海峡諸島民の旗木曜島(Thursday Island)のバーナード・ナモク(Bernard Namok)緑=陸、青=海、白=平和、黒=トレス海峡諸島民

トレス海峡諸島民の旗の中央には、頭飾り「ダリ(dhari)」と五つの角の星があります。星は5つの主な島のグループと、航海の役割を表しています。

国の取り組み

連邦政府の国立先住民オーストラリア人庁(National Indigenous Australians Agency、NIAA)は、先住民の文化の表現と保護を支える事業に資金を出しています(NIAAのページ(新しいタブで開く))。

2023年10月14日には、先住民の代表機関「ボイス(Voice)」を憲法に定めるかを問う国民投票が行われました。この提案は可決されませんでした(NIAA)。

日本とのちがいと注意点だよ!

  • 日本語では「アボリジニ」という表記も見かけます。英語の「Aborigine」は、AIATSISが使わないよう求めている言葉です。このサイトでは「アボリジナル」と書きます。言葉の選び方は「敬意のある言葉づかい」にまとめています。
  • 「先住民の言葉」「先住民のあいさつ」のように、1つにまとめて紹介されることがあります。実際は、土地ごとに言語も習慣も違います。訪れる土地の人々について、その土地の公式の案内で確認しましょう。
  • 会議や行事の始めに行われる「土地への敬意の表明」は、「土地への敬意の表明」で説明しています。
  • 聖地や先住民の土地を訪れるときの心得は、「聖地を訪れるときの作法」の記事で扱っています。

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