国民投票(憲法改正、Referendum)
憲法を変える唯一の方法が国民投票(referendum)です。議会で可決された改正案に、全国の過半数と、6州のうち4州以上の過半数の賛成(二重の過半数)が必要です。連邦の結成以来45の案が国民投票にかけられ、可決されたのは8つです。
憲法改正のしくみ
オーストラリア選挙管理委員会(Australian Electoral Commission、AEC)の国民投票のページ(新しいタブで開く)は、憲法を変える唯一の方法を国民投票(referendum)としています。
議会での可決(憲法第128条)
憲法第128条は、改正案がまず議会で次のように可決されることを求めています。
- 原則:下院と上院のそれぞれで、絶対多数(absolute majority)で可決される
- 例外:一定の条件のもとで、どちらか一方の院が3か月以内に2回可決する
二重の過半数(double majority)
国民投票で改正案が成立するには、次の両方が必要です。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 全国の過半数 | 州と準州の投票者を合わせた全国の過半数が賛成する |
| 州の過半数 | 6州のうち過半数(4州以上)で、それぞれ投票者の過半数が賛成する |
ACT、NTなどの準州の票は、全国の過半数にだけ数えられます(PEOの二重の過半数のページ(新しいタブで開く))。
賛成・反対の主張のパンフレット
議会教育局(PEO)の改正の手順のページの説明では、議員が賛成(YES)と反対(NO)の主張をまとめ、AECが両方の主張を説明するパンフレットを作って送ります。
2023年の国民投票のAECの公式の冊子では、次のように説明されています。
- 賛成の主張は法案に賛成した議員が、反対の主張は反対した議員が、それぞれ主張をまとめることを望んだ議員の多数でつくります。
- 国民投票の手続きの法律(Referendum (Machinery Provisions) Act 1984)の第11条1項で、それぞれ2,000語までと決められています。
- AECには、主張の文章を直したり、事実を確かめたりする法律上の権限はありません。
これまでの国民投票
連邦の結成以来、45の憲法改正の案が国民投票にかけられ、可決されたのは8つだけです。主な国民投票は次のとおりです。
| 投票日 | 内容 | 結果 | 全国の賛成 |
|---|---|---|---|
| 1967年5月27日 | 先住民についての法律をつくれるようにし、人口の数からの除外をなくす | 可決(全州で賛成) | 90.77% |
| 1999年11月6日 | 共和制への移行 | 否決 | 45.13% |
| 1999年11月6日 | 憲法に前文を入れる | 否決 | 39.34% |
| 2023年10月14日 | アボリジナルとトレス海峡諸島民のボイスを設ける | 否決 | 39.94% |
1916年と1917年の徴兵をめぐる投票は、AECの憲法改正の国民投票の一覧には入っていません。
国民投票と「plebiscite」の違い
AECのplebisciteのページ(新しいタブで開く)によると、憲法に関わらない問題を投票にかけるものは「plebiscite(プレビサイト)」と呼ばれ、国民投票(referendum)とは区別されます。
| 項目 | 国民投票(referendum) | plebiscite |
|---|---|---|
| 対象 | 憲法の改正 | 憲法に関わらない問題 |
| 法律での定め | 憲法第128条に手続きがある | 憲法、選挙法、国民投票法のどれにも定めがない |
| 結果の扱い | 可決されると憲法が改正される | 政府は結果に従う義務がない。賛否を確かめるために行う |
AECは、1916年と1917年の徴兵をめぐる投票は憲法の改正案ではなかったため、第128条は適用されなかったとしています。どちらも否決されました。plebisciteは、連邦のほか、州や準州の政府も行ってきました。
手順
PEOの説明による、改正の流れです。
- 改正の法案が議会に出され、下院と上院で絶対多数により可決される。
- 議員が賛成(YES)と反対(NO)の主張をまとめる。
- AECが、両方の主張を説明するパンフレットを作って送る。
- 有権者が「YES」か「NO」で投票する。
- 全国の過半数と、4つ以上の州それぞれの過半数が賛成する。
- 総督が法案に署名し、憲法が改正される。
投票の仕方
投票用紙の質問の横に「Yes」か「No」をはっきり書く、というのがAECの案内です。2023年の冊子では、改正に賛成なら「YES」、賛成しないなら「NO」と書くよう案内しています。書き間違えたときは、新しい投票用紙をもらってやり直せます。
費用
国民投票で投票するのに費用はかかりません。
日本との違い・注意点
- 国民投票で投票できるのは、選挙人名簿に登録した人だけです。AECの2023年の冊子は、18歳以上のオーストラリア市民に登録と投票が義務づけられ、投票しないと罰金や起訴の対象になることがあると説明しています。市民権のない日本国籍の人は対象になりません。登録できる人は「選挙権を持つ人」に、義務と罰金は「義務投票制」にまとめています。
- 憲法の内容は「憲法」でまとめています。
- 個々の国民投票は「1967年の国民投票」「1999年の共和制の国民投票」「2023年の国民投票」でそれぞれ取り上げています。
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