日本人のためのオーストラリア情報
住まい / 賃貸

入居時の状態報告書(Condition report)

ひとことで言うと

状態報告書は、入居時の部屋の状態を記録する書類で、退去時にボンドを返してもらうときの重要な証拠になります。大家から受け取ったら、傷や汚れを書き足し、決められた期限内に返します。名前、返す期限、使う様式は州・準州ごとに違います。

目次
  1. 状態報告書の役割
  2. 州・準州ごとの違い
  3. 手順
  4. 費用
  5. 日本との違い・注意点
ここは大事だよ

条件や金額は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の情報を確認してください。個別の判断は、登録された専門家に相談してください。

状態報告書の役割

状態報告書(Condition report)は、入居した時点の物件の状態を、部屋ごと・設備ごとに記録する書類です。州によって「Entry condition report」「Property condition report(PCR)」「Inspection sheet」などと呼ばれます。

退去時には、この報告書と比べて、通常の使用による劣化(fair wear and tear)か、借主が直すべき損傷かを判断します。大家がから修理費などを差し引くときの証拠にもなり、借主を根拠のない請求から守る証拠にもなります。

一般的な流れは次のとおりです。

  1. 大家(landlord、rental provider)や不動産会社が報告書を作り、借主に渡す。
  2. 借主が部屋を確認し、同意できない点や書かれていない傷・汚れを書き足す。
  3. 署名した写しを期限内に大家に返し、もう1部を自分で保管する。

多くの州で、期限内に返さないと、大家の記載に同意したものとみなされます。

記録するときのポイント

州の公式ページは、次のような点を勧めています。

  • 小さな傷も含め、すべての損傷を書く(NSW)
  • 日付入りの写真や動画を撮り、報告書に添える(NSW、VIC、QLD、WA、NT)
  • 窓・ドア・鍵、蛇口とお湯、シャワー、トイレ、オーブン、エアコン、照明、コンセント、煙感知器などが動くか確かめる(QLD)
  • 電気のコンセントの破損や配線の露出など、電気の危険を記録する(NSW)

州・準州ごとの違い

各州・準州の公式ページで確認できた内容です(2026年10月時点)。

州・準州大家が渡す時期借主が返す期限
ニューサウスウェールズ州(NSW)入居前。契約書を署名のために渡すとき、またはそれより前に、紙2部か電子版1部入居から7日以内に1部を返す
ビクトリア州(VIC)入居前。決められた様式(Condition report template)で、紙2部か電子版1部入居から5営業日以内(週末と祝日を除く)
クイーンズランド州(QLD)入居時。一般の賃貸はForm 1a入居した日と受け取った日の遅いほうから7日以内。大家は受け取ってから14日以内に写しを借主に返す
西オーストラリア州(WA)決められた様式(Property Condition Report、Form 1)で2部受け取ってから7日以内に1部を返す
南オーストラリア州(SA)契約を結ぶとき、署名したInspection sheetを1部記入して写しを保管し、大家に返す。期限はSA州の公式窓口(CBS)で確認
オーストラリア首都特別地域(ACT)入居から1日以内に2部(電子でも可)入居から2週間以内
タスマニア州(TAS)ボンドを求める場合、契約開始時かそれより前に、署名した2部受け取ってから2日以内に1部を返す
北部準州(NT)契約開始から3営業日以内。原則として借主の立ち会いのもとで作る受け取ってから5営業日以内

そのほかに確認できた州ごとの決まりは次のとおりです。

  • VIC:報告書が間違っている場合、契約開始から30日以内に審判所(VCAT)に判断を求められます。入居前に報告書をもらえなかった場合は、借主が自分で作り、入居から5営業日以内に渡せます。
  • QLD:大家が報告書を渡さないことは違反です。
  • NT:入居時に大家が報告書を作らなかった場合、大家はボンドから請求できません。
  • TAS:報告書をもらえなかった場合は、借主が自分で作るか写真を撮って、大家に渡せます。
  • NSW:同じ人が契約を更新する場合や、同居人が入れ替わる場合は、新しい報告書は必要ありません。

詳しくは、NSW Fair Trading(新しいタブで開く)、Consumer Affairs Victoria(新しいタブで開く)、RTA(QLD)(新しいタブで開く)、WA州消費者保護局(新しいタブで開く)、SA州政府(新しいタブで開く)、ACT政府(新しいタブで開く)、タスマニア州の消費者局(新しいタブで開く)、NT政府(新しいタブで開く)の各ページで説明されています。

手順

  1. 契約時か入居時に、状態報告書を受け取る。もらえない場合は大家や不動産会社に求める。
  2. 入居したらすぐ、部屋ごとに報告書と実際の状態を見比べる。
  3. 違う点、書かれていない傷・汚れ・故障を書き足す。床、壁、カーテン、家具、屋外も確認する。
  4. 日付入りの写真や動画を撮り、ファイル名や撮影場所を記録しておく。
  5. 署名して、州の期限内に1部を大家に返す。郵送する場合は届く日数も考える。
  6. 自分の写しと写真を、退去するまで保管する。
  7. 修理が必要な箇所があれば、報告書とは別に書面で修理を依頼する。

費用

状態報告書の作成や受け取りに、借主が払う費用はありません。報告書を丁寧に作っておくと、退去時にボンドから不当な差し引きを受けるのを防ぎやすくなります。

ここに注意してね!

  • 返す期限が短い州もあります(TASは受け取ってから2日以内)。報告書は入居したその日のうちに見ておくのが安心です。
  • 期限内に返さないと、大家の記載に同意したとみなされる州が多いです(QLD、WA、ACT、NTの公式ページに明記)。
  • 写真は報告書の代わりではなく、補う証拠です。報告書への記入と写真の両方を残すのが安全です。
  • 退去時にも、同じ報告書をもとに状態を確認します。VICでは、大家は契約終了から10日以内に退去時の記録(Exit condition report)を作ります。
  • 報告書の内容でもめたときは、州の公正取引局などの窓口に相談してください。

この記事をシェアする

次に読むならこれ

関連する記事

住まいボンド(敷金、Rental bond)と預かり機関賃貸住宅のボンド(敷金)は、多くの州・準州で家賃4週間分が上限で、大家ではなく州の預かり機関に預けるのが原則です。上限、預け先、預ける期限は州・準州ごとに違います。払う前に、預かり機関に預けられるか、受領書が出るかを確認しましょう。住まい賃貸契約書(Residential tenancy agreement)の読み方賃貸契約書(リース)は大家と借主の権利と義務を定める契約で、州・準州の賃貸法に反する条項は無効です。多くの州に標準の様式があり、署名後のクーリングオフはありません。家賃、ボンド、期間、特別条項を署名前に確認しましょう。住まい内見(Inspection)の流れ賃貸物件の内見(Inspection)は、申し込む前に物件の中を実際に見て、状態や設備、周りの環境を確かめる機会です。内見なしでお金を求める広告は、詐欺の可能性があります。内見そのものに料金はかからないとする州もあります。住まい修理の依頼と緊急修理(Urgent repairs)賃貸住宅の修理は、借主の過失でなければ原則として大家側の負担です。修理は「緊急」と「緊急でないもの」に分かれ、対応の期限や、借主が自分で業者を手配できる条件が州・準州ごとに決まっています。修理を待つ間も家賃は払い続けます。住まい退去と賃貸契約の終了(Ending a tenancy)賃貸契約を終えるには、州・準州の法律で決まった日数前に、書面で通知します。固定期間の途中で出ると、違約金や損害の補償を求められることがあります。大家側から終了を求める場合も、予告の日数や理由の決まりがあります。住まい貸主とのトラブルと相談先(州の審判所 NCAT・VCAT・QCAT など)大家や不動産会社とのトラブルは、まず話し合い、だめなら州・準州の窓口に相談し、最後は審判所や裁判所が判断します。窓口と審判所の名前、申し立ての期限は州ごとに違います。期限が短いことがあるため、早めに相談しましょう。