日本人のためのオーストラリア情報
住まい / 賃貸

賃貸契約書(Residential tenancy agreement)の読み方

ひとことで言うと

賃貸契約書(リース)は大家と借主の権利と義務を定める契約で、州・準州の賃貸法に反する条項は無効です。多くの州に標準の様式があり、署名後のクーリングオフはありません。家賃、ボンド、期間、特別条項を署名前に確認しましょう。

目次
  1. 賃貸契約書とは
  2. 州・準州ごとの違い
  3. 手順
  4. 費用
  5. 日本との違い・注意点
RENT
ここは大事だよ

条件や金額は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の情報を確認してください。個別の判断は、登録された専門家に相談してください。

賃貸契約書とは

賃貸契約書の呼び方は州によってさまざまで、「Residential tenancy agreement」「Rental agreement」「Lease」などがあります。いずれも、大家(landlord、rental provider)と借主(tenant、renter)の権利と義務を定める法的な契約です。

2つの種類

種類内容
固定期間(Fixed term)6か月、12か月など、終わりの日が決まっている
期間の定めなし(Periodic)終わりの日がなく、どちらかが決まった予告をするまで続く

固定期間が終わったあとも新しい契約を結ばずに住み続けると、多くの州で自動的に期間の定めのない契約に切り替わります(NSW、VIC、ACT、TAS、NTの公式ページに明記)。

契約書で確認する主な項目

  • 大家・不動産会社と借主の名前と連絡先(書類を送る住所)
  • 契約の開始日と、固定期間なら終了日
  • 家賃の額と払い方、家賃の値上げの決まり
  • の額
  • 電気・ガス・水道などの費用を誰が払うか
  • 修理の連絡先
  • 標準の条項(Standard terms)と、追加の特別条項(Special terms、Additional terms)

書いても無効な条項

州の賃貸法に反する条項は無効です。たとえばNSWとVICの公式ページは、次のような条項を禁止しています。

  • 保険への加入を借主に義務づける
  • 契約の作成費用を借主に払わせる
  • 契約違反のときに高い家賃や違約金を払わせる
  • 大家が指定する業者(芝刈り、プール清掃など)を使わせる

NSWとVICでは、禁止された条項を入れた大家に罰則が科されることがあります。

州・準州ごとの違い

各州・準州の公式ページで確認できた内容です(2026年10月時点)。

州・準州標準の様式・条項確認できた主な決まり
ニューサウスウェールズ州(NSW)NSW Fair Tradingの標準賃貸契約書(記入できるPDF)。標準条項は変更・削除できない大家は契約を書面にする義務がある。契約書の作成費用は請求できない。クーリングオフなし
ビクトリア州(VIC)書面の契約は決められた様式(Prescribed form)を使う。5年以下と期間の定めなしはForm 1、5年超はForm 2入居前に、契約書の写しと州の「Renters guide」などを渡す。クーリングオフなし
クイーンズランド州(QLD)一般の賃貸はGeneral tenancy agreement(Form 18a)契約はすべて書面。大家は、借主がお金を払う前に契約書の写しを渡す。借主は署名して5日以内に返す。Pocket guide(Form 17a)も渡される
西オーストラリア州(WA)書面の契約はForm 1AAを使う。Part Bの基本的な権利と義務は変更できない署名から14日以内に写しを渡す。説明書(Form 1AC、口頭の契約はForm 1AD)も渡す
南オーストラリア州(SA)州のConsumer and Business Services(CBS)が、固定期間用と期間の定めなし用の契約書を用意署名時か、双方の署名から21日以内に写しを渡す。90日以内の短期の固定契約には別の決まりがある
オーストラリア首都特別地域(ACT)Residential Tenancies Act 1997の標準条項がすべての契約に適用される標準条項と矛盾する条項は、審判所(ACAT)の承認がなければ無効。クーリングオフなし
タスマニア州(TAS)書面・口頭のどちらも有効だが、書面が勧められている書面の場合、契約開始から14日以内に写しを渡す。固定期間は4週間以上
北部準州(NT)法律上、書面である必要はないが、書面のほうがよいとされている固定期間と期間の定めなしの2種類

詳しくは、NSW Fair Trading(新しいタブで開く)、Consumer Affairs Victoria(新しいタブで開く)、RTA(QLD)(新しいタブで開く)、WA州消費者保護局(新しいタブで開く)、SA州政府(新しいタブで開く)、ACT政府(新しいタブで開く)、タスマニア州の消費者局(新しいタブで開く)、NT政府(新しいタブで開く)の各ページで、様式や細かな決まりを読めます。

手順

  1. 署名する前に、契約書の案(Proposed agreement)を受け取る。
  2. 州の標準の様式が使われているかを確認する。
  3. 家賃、ボンド、期間、開始日、費用の負担、特別条項を読む。
  4. 分からない条項や、州の決まりに反していそうな条項があれば、署名前に大家や不動産会社に確認する。必要なら州の公正取引局などに相談する。
  5. 修理を約束してもらった場合は、書面に残す。
  6. 署名し、署名済みの写しを受け取って保管する。
  7. 入居時の状態報告書(Condition report)とボンドの受領書も一緒に保管する。

費用

契約書の作成や記入の費用を借主が払う必要はありません(NSW、VICの公式ページに明記)。NSWでは、3年を超える固定期間の契約を土地登記所(NSW Land Registry Services)に登録する場合に、登録費用がかかることがあります(2026年10月時点)。

ここに注意してね!

  • 署名したあとのクーリングオフはありません(NSW、VIC、ACTの公式ページに明記)。署名前に内容を十分に確認してください。
  • 固定期間の途中で退去すると、違約金(Break lease fee)などを求められることがあります。条件は州ごとに違います。
  • 州の法律に反する条項は、契約書に書いてあっても無効です。ただし、自分で判断がつかないときの相談先は、州の公正取引局や借主の相談窓口です。
  • 契約書、受領書、大家とのやり取りは、退去してボンドが返るまで手元に残しておきましょう。

この記事をシェアする

次に読むならこれ

関連する記事

住まい賃貸の探し方と申し込み(Renting a home)オーストラリアで家を借りるときは、物件を探して内見し、申込書を出し、審査に通ったら契約書に署名してボンドと前払い家賃を払います。申し込み時に払うお金や、求められる書類の範囲は州・準州の法律で決まっています。家賃をつり上げる競り(Rent bidding)を禁じる州もあります。住まいボンド(敷金、Rental bond)と預かり機関賃貸住宅のボンド(敷金)は、多くの州・準州で家賃4週間分が上限で、大家ではなく州の預かり機関に預けるのが原則です。上限、預け先、預ける期限は州・準州ごとに違います。払う前に、預かり機関に預けられるか、受領書が出るかを確認しましょう。住まい入居時の状態報告書(Condition report)状態報告書は、入居時の部屋の状態を記録する書類で、退去時にボンドを返してもらうときの重要な証拠になります。大家から受け取ったら、傷や汚れを書き足し、決められた期限内に返します。名前、返す期限、使う様式は州・準州ごとに違います。住まい家賃の値上げ(Rent increase)のルール家賃の値上げは、多くの州・準州で12か月に1回までで、決められた日数前に書面で知らせる必要があります。固定期間の途中の値上げは、契約書に定めがある場合などに限られます。値上げが高すぎると思うときは、期限内に州の窓口や審判所に申し立てられます。住まい退去と賃貸契約の終了(Ending a tenancy)賃貸契約を終えるには、州・準州の法律で決まった日数前に、書面で通知します。固定期間の途中で出ると、違約金や損害の補償を求められることがあります。大家側から終了を求める場合も、予告の日数や理由の決まりがあります。住まい貸主とのトラブルと相談先(州の審判所 NCAT・VCAT・QCAT など)大家や不動産会社とのトラブルは、まず話し合い、だめなら州・準州の窓口に相談し、最後は審判所や裁判所が判断します。窓口と審判所の名前、申し立ての期限は州ごとに違います。期限が短いことがあるため、早めに相談しましょう。