家賃の値上げ(Rent increase)のルール
家賃の値上げは、多くの州・準州で12か月に1回までで、決められた日数前に書面で知らせる必要があります。固定期間の途中の値上げは、契約書に定めがある場合などに限られます。値上げが高すぎると思うときは、期限内に州の窓口や審判所に申し立てられます。
条件や金額は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の情報を確認してください。個別の判断は、登録された専門家に相談してください。
値上げの3つの決まり
家賃の値上げは、州・準州の賃貸法で決まりが定められています。主なものは次の3つです。
- 値上げできる間隔(多くの州で12か月に1回まで)
- 値上げの予告(決められた日数前に、書面で知らせる)
- 固定期間(Fixed term)の途中の値上げ(契約書に定めがある場合などに限られる)
決まりを守らない値上げは無効になることがあります。たとえば西オーストラリア州(WA)では、決まりに従っていない値上げを借主は払わなくてよいとされています。ビクトリア州(VIC)では、決められた書式を使わない通知は無効です。
値上げの額
多くの州では、値上げの額そのものに上限はありません。ただし、高すぎると思う場合は、州の窓口や審判所に判断を求められます。
例外はオーストラリア首都特別地域(ACT)で、値上げの額にも上限があります。原則は、キャンベラの家賃の消費者物価指数(CPI)の伸びに10%を上乗せした率(prescribed amount)まで。これを超えるには、借主が書面で同意するか、審判所(ACAT)の命令が必要です。
契約を更新したとき
契約を更新しても、同じ借主が住み続けている場合は、前回の値上げから12か月の決まりが続く州があります(NSW、QLD、WA、ACTの公式ページに明記)。クイーンズランド州(QLD)では、借主や大家が替わっても、その物件の前回の値上げから12か月が数えられます。
州・準州ごとの違い
各州・準州の公式ページで確認できた内容です(2026年10月時点)。
| 州・準州 | 値上げの間隔 | 予告 | 固定期間中の値上げ | 高すぎると思うとき |
|---|---|---|---|---|
| ニューサウスウェールズ州(NSW) | 12か月に1回まで。入居から12か月は値上げできない | 60日以上前に書面 | 2024年12月13日より前に始まった2年未満の固定期間は、契約書に額や計算方法がなければ値上げできない | 通知を受けてから30日以内に審判所(NCAT)に申し立てる |
| ビクトリア州(VIC) | 12か月に1回まで(2019年6月19日以降の契約) | 90日以上前に決められた書式で(2025年11月25日から) | 契約書に値上げの条項と計算方法がある場合だけ | 通知から30日以内に州の消費者局(CAV)に無料の家賃評価を求める。その後、紛争解決機関(RDRV)、審判所(VCAT)へ |
| クイーンズランド州(QLD) | 12か月に1回まで(物件ごとに数える) | 2か月以上前に書面 | 契約書に値上げと額(計算方法)がある場合だけ | 通知から30日以内(固定期間は終了前)に審判所(QCAT)に申し立てる |
| 西オーストラリア州(WA) | 12か月に1回まで | 60日以上前に書式(Form 10)で | 契約書に額か計算方法がある場合だけ | 治安判事裁判所(Magistrates Court)に申し立てる |
| 南オーストラリア州(SA) | 12か月に1回まで | 60日以上前に書面 | 契約書に値上げの条件と計算方法がある場合だけ | 通知から90日以内に審判所(SACAT)に申し立てる |
| オーストラリア首都特別地域(ACT) | 12か月に1回まで | 原則8週間以上前 | 2024年12月10日より前に始まった固定期間は、契約書の定めによる | 上限を超える値上げは、借主の書面の同意かACATの命令が必要 |
| タスマニア州(TAS) | 原則として12か月に1回まで。契約の途中では通常値上げできない | 60日以上前に書面 | 書面の契約は、値上げの定めがある場合だけ。口頭の契約は定めがなくても値上げできる | 賃貸審判官(Residential Tenancy Commissioner)に審査を申し込む |
| 北部準州(NT) | 前回の値上げか入居から6か月以上後 | 30日以上前に書面 | 契約書に値上げと額(計算方法)の定めがある場合だけ | 借主が審判所(NTCAT)に申し立てる。近くの似た物件の家賃の水準に比べて高すぎる場合や、サービスが大きく減った場合に認められる |
そのほかに確認できた決まりは次のとおりです。
- NSW:通知には、新しい家賃の額(値上げ幅ではない)と開始日を書きます。値上げの交渉で額が下がった場合、改めて60日前の通知は不要です。
- VIC:通知には、値上げの額と計算方法、高すぎると思う場合にできることを書きます。「CPIによる」とだけ書いた計算方法は無効の例とされています。
- QLD:契約書には前回の値上げの日を書きます。借主は、前回の値上げの証拠を書面で求めることができ、大家側は14日以内に出します。
- ACT:州政府の値上げ計算ツールは、統計局のCPIの公表方法の変更に伴い、2026年10月時点で更新中です。
- TAS:審判官の決定には、どちらも60日以内に治安判事裁判所に不服を申し立てられます。
- NT:家賃の競り上げ(rent bidding)は禁止されています。
- NT:NTCATは、家賃が高すぎると認めると、家賃を下げる命令を出せます。命令の期間は12か月までです。
各州の細かな条件は、NSW Fair Trading(新しいタブで開く)、Consumer Affairs Victoria(新しいタブで開く)、RTA(QLD)(新しいタブで開く)、WA州消費者保護局(新しいタブで開く)、SA州政府(新しいタブで開く)、ACT政府(新しいタブで開く)、タスマニア州の消費者局(新しいタブで開く)、NT政府(新しいタブで開く)の各ページにまとまっています。
手順
- 値上げの通知を受け取ったら、受け取った日を記録する。申し立ての期限は、この日から数えることが多いです。
- 通知が書面か、決められた書式か、予告の日数が足りているかを確認する。
- 前回の値上げ(または入居)から、決められた期間が過ぎているかを確認する。
- 固定期間の途中なら、契約書に値上げの定めがあるかを確認する。
- 近くの似た物件の家賃を調べる。NSWでは州政府の「Rent Check」で、郵便番号ごとの家賃の中央値の範囲を確認できます。
- 高すぎると思う場合は、大家や不動産会社と交渉する。合意した内容は書面に残す。
- 合意できない場合は、期限内に州の窓口や審判所に申し立てる。
費用
VICの消費者局(CAV)による家賃評価は無料です(2026年10月時点)。審判所に申し立てる費用は州によって違い、金額は各審判所のページに載っています。
の上限は家賃をもとに決まるため、家賃が上がるとボンドの追加を求められる場合があります。QLDでは、前回のボンドの増額か入居から11か月以上たっていれば、増額を求められることがあります。NTでは、ボンドの増額の通知は、払ってから(または前回の増額から)2年後から出せます。
ここに注意してね!
- NTでは、契約の準備や更新の費用を大家側が借主に請求できないと明記されています。契約の更新時の費用の扱いは、州・準州の窓口に問い合わせるのが確実です。
- 値上げに納得できなくても、家賃を払わないと契約違反になります。払い続けながら、決められた手続きで争ってください。
- VICとWAでは、修理の依頼や値上げへの異議など、借主が権利を使ったことを理由に退去を求めることは認められていません。
- 申し立ての期限は30日などと短いことがあります。通知を受け取ったら早めに州の窓口に相談してください。相談先は「貸主とのトラブルと相談先」で紹介しています。
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