修理の依頼と緊急修理(Urgent repairs)
賃貸住宅の修理は、借主の過失でなければ原則として大家側の負担です。修理は「緊急」と「緊急でないもの」に分かれ、対応の期限や、借主が自分で業者を手配できる条件が州・準州ごとに決まっています。修理を待つ間も家賃は払い続けます。
条件や金額は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の情報を確認してください。個別の判断は、登録された専門家に相談してください。
修理はだれの負担か
大家(landlord、rental provider)は、賃貸住宅を適切な状態に保つ義務があります。借主(tenant、renter)が壊したものでなければ、修理は原則として大家側が手配し、費用を負担します。借主が壊したり汚したりした場合は、借主が直すか費用を払うことがあります。
緊急の修理と緊急でない修理
修理は、多くの州・準州で「緊急の修理(urgent repairs、emergency repairs)」と「それ以外の修理」に分かれます。どれが緊急かは法律で決まっています。各州の公式ページに共通して挙がっている主な例は次のとおりです。
- 水道管の破裂や深刻な水漏れ
- トイレの詰まりや故障
- 屋根からのひどい雨漏り
- ガス漏れ
- 危険な電気の故障
- 洪水、嵐、火事による深刻な被害
- ガス、電気、水道の供給が止まった
- お湯、調理、暖房のための設備が動かない
- 住宅が安全でない、または鍵がかからない状態になる故障
州によっては、冷房、煙探知機、洗濯の設備なども緊急の修理に含まれます。たとえばVICでは、大家が用意した冷房の故障や、最低基準(minimum standards)を満たさない状態も緊急の修理です。
緊急でない修理は、すぐに安全を脅かさないものです。食洗機の故障、浴室のタイルのゆるみ、棚の破損などが例に挙がっています。
修理を待つ間の家賃
修理を待っている間も、家賃は払い続けます(NSW、VIC、WAの公式ページに明記)。家賃を止めると契約違反になり、退去を求められることがあります。VICでは、家賃を州の消費者局(CAV)の特別口座に預けるよう、紛争解決機関(RDRV)に申し込む方法があります。
州・準州ごとの違い
各州・準州の公式ページで確認できた内容です(2026年10月時点)。
| 州・準州 | 緊急の修理 | 借主が自分で手配する場合 | 緊急でない修理 |
|---|---|---|---|
| ニューサウスウェールズ州(NSW) | 大家・不動産会社にまず連絡する | 連絡がつかない場合などに手配でき、A$1,000まで、14日以内に返金される | 大家側が手配する。借主が手配するには大家の書面の同意が必要 |
| ビクトリア州(VIC) | 大家側はすぐに修理する | 大家側から返事がない場合に手配できる。A$2,500以下に限る。修理から7日以内に書面で請求し、大家側は7日以内に払う | 書面での依頼から14日以内に修理する |
| クイーンズランド州(QLD) | 契約書に書かれた修理業者などに連絡する | 妥当な時間内に連絡がつかない場合、家賃4週間分まで手配できる。書面で請求し、7日以上の期限を設ける | 公式ページで確認 |
| 西オーストラリア州(WA) | 電気・ガス・水道などの必須サービスは24時間以内、それ以外の緊急修理は48時間以内に大家が手配する | 大家が対応しない場合に、適切な業者で手配できる。大家は妥当な費用を返す | 書面で依頼する。借主が手配するには大家の書面の許可が必要 |
| 南オーストラリア州(SA) | できるだけ早く大家に伝える。大家は妥当な期間内に修理する | 大家が直さない場合、有資格の業者に直してもらい、請求書を大家に渡せる。業者は原因と作業の報告書を出す | 書面で依頼する(州の依頼書式あり) |
| オーストラリア首都特別地域(ACT) | 大家はできるだけ早く修理する | 大家に連絡がつかない、または適切な期間に修理しない場合、年間家賃の5%まで手配できる。契約書で大家が指定した有資格の業者に頼む(指定がない・連絡がつかない場合は自分で選んだ有資格の業者)。手順を守らないと費用は借主の負担 | 4週間以内に修理する |
| タスマニア州(TAS) | 水道、下水、電気、暖房、調理用コンロ、給湯などが止まった場合、大家はできるだけ早く修理する | 24時間以内に大家に連絡がつかない場合、指定の修理業者か適切な業者で手配できる。必要書類を渡してから14日以内に返金される | 依頼から28日たっても直らない場合、借主は契約を終了する通知を出せる |
| 北部準州(NT) | 大家は通知から5日以内に修理するか、14日以内に修理する手配をする | 公式ページで確認 | 大家は適時に修理するか手配する |
そのほかに確認できた決まりは次のとおりです。
- NSW:返金を受けるには、借主に原因がないこと、大家に連絡を試みたこと、修理の機会を与えたこと、有資格の業者が修理したことを示し、領収書を残します。州の公正取引局(NSW Fair Trading)は、大家に修理を命じる是正命令(rectification order)を出すことがあります。
- VIC:A$2,500を超える緊急の修理は、借主が手配できません。RDRVに申し込みます。緊急でない修理は、CAVに無料の修理検査を頼めます。
- QLD:大家側が返金しない場合、借主は審判所(QCAT)に急ぎの申し立てができます。
- WA:電気、ガス、水道の工事は、登録された業者や有資格者に頼みます。大家の書面の許可なく、大きい給湯器に替えるなどの改良はできません。
- ACT:決められた手順で手配した修理の費用は大家が負担し、業者は大家に直接請求できます。
- TAS:大家は、借主が24時間待たずに緊急修理を手配した場合などに限り、請求に異議を出せます。
- NT:準州の賃貸法(Residential Tenancies Act 1999)では、修理が必要と気づいたら、できるだけ早く口頭か書面で大家に知らせます。大家に書面で出すよう求められたときは、書面で知らせる必要があります。修理されない場合はNTCATに申し立てられます。
州ごとの細かな条件は、NSW Fair Trading(新しいタブで開く)、Consumer Affairs Victoria(新しいタブで開く)、RTA(QLD)(新しいタブで開く)、WA州消費者保護局(新しいタブで開く)、SA州政府(新しいタブで開く)、ACT政府(新しいタブで開く)、タスマニア州の消費者局(新しいタブで開く)、NT政府(新しいタブで開く)の各ページで読めます。
手順
緊急の修理の場合:
- 契約書に書かれた緊急連絡先(大家、不動産会社、指定の修理業者)にすぐ電話する。
- 電話した日時と内容を記録し、メールやメッセージでも依頼する。
- 返事がない場合は、もう一度連絡し、記録を残す。
- それでも対応されない場合は、州の決まりの範囲で、有資格の業者に修理を頼む。費用の上限や条件を先に確認する。
- 業者の請求書と領収書を保管し、書面で大家側に返金を求める。
- 返金されない場合は、州の窓口や審判所に相談する。
緊急でない修理の場合:
- 修理が必要な箇所を写真に撮る。
- 日付を入れた書面(メールなど)で修理を依頼する。州の書式がある場合は使う。
- 期限までに修理されない場合は、州の窓口に相談する。
費用
借主の過失でない修理は、原則として大家側の負担です。借主が立て替えた緊急の修理の返金の上限は、NSWはA$1,000、VICはA$2,500、QLDは家賃4週間分です(2026年10月時点)。
借主が壊したものの修理は、借主の負担になります。SAでは、借主が同意して大家が直す場合、大家は審判所(SACAT)が定める時給A$33.85(2026年10月時点)と材料費などを請求できます。
ここに注意してね!
- 緊急の修理の連絡先は、契約書に書かれていることが多いもの。入居したらすぐに見て、電話番号を控えておくと安心です。
- 修理の依頼は、口頭だけでなく書面でも残しておきましょう。審判所などで争うとき、依頼した証拠になります。
- 自分で業者を手配する前に、その州で手配できる条件と費用の上限を確かめてください。条件を満たさないと、返金されないことがあります。
- 修理のために大家や業者が家に入るときは、州ごとに予告の決まりがあります。VICは24時間以上前の予告で8時から18時まで、SAは48時間以上前の予告(緊急の修理は予告不要)、ACTは緊急でない修理で1週間前の書面の予告です。
- 入居時の状態報告書(Condition report)に不具合を書いておくと、退去時に自分の責任でないことを示しやすくなります。書き方は「入居時の状態報告書」にまとめています。
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