日本人のためのオーストラリア情報
仕事・税金 / 働く人の権利

不当解雇の相談(Unfair dismissal)

ひとことで言うと

解雇が過酷・不当・不合理だと思うときは、公正労働委員会(Fair Work Commission)に申し立てができます。期限は解雇から21日以内です。申し立てには、6か月(従業員15人未満の事業者は12か月)以上の勤務などの条件があり、申立料がかかります。

目次
  1. 申し立ての窓口と対象
  2. 手順
  3. 費用
  4. 日本との違い・注意点
ここは大事だよ

条件や金額は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の情報を確認してください。個別の判断は、登録された専門家に相談してください。

申し立ての窓口と対象

不当解雇(Unfair dismissal)の申し立ては、公正労働委員会(Fair Work Commission、FWC)が扱います。FWC は全国の労使関係を扱う審判所です。公正労働オンブズマン(Fair Work Ombudsman)は、不当解雇の調査はしません。

不当解雇とは

次のいずれかに当たる解雇は、不当とされる可能性があります。

  • 過酷(harsh)、不当(unjust)、不合理(unreasonable)である
  • 本物の整理解雇(Genuine redundancy)ではない
  • 小規模事業者の場合、小規模事業者公正解雇規範(Small Business Fair Dismissal Code)に沿っていない

FWC は、解雇に正当な理由があったか、理由を告げられ反論の機会があったか、能力不足が理由なら事前に警告があったか、などを考えて判断します。

本人が自分の意思で辞めた場合は解雇に当たりません。ただし、雇用主の行為のせいで辞めざるを得なかった場合は、解雇とされることがあります。契約期間の終了や、季節の仕事の終了は解雇に当たりません。

申し立てができる人

次の全てに当てはまる人が対象です。

  • 全国の労使関係制度の雇用主(National system employer)に雇われている。民間企業の多くが当たります
  • 最低勤務期間(6か月。従業員15人未満の小規模事業者は12か月)以上働いた
  • 収入が高所得の基準額(High income threshold)未満である。アワードや労使協定の対象の人は、基準額を超えていても対象です
  • カジュアルの人は、定期的・継続的に働き、それが続くと考える理由があった

高所得の基準額は、2026年7月1日からA$190,100です(2026年10月時点)。収入には、法律で決まったの拠出、金額があらかじめ決まらないボーナスや歩合などは含まれません。

人材派遣会社を通じて働いている人は、派遣先ではなく派遣会社に対して申し立てます。請負(Independent contractor)やボランティアは対象外です。

ほかの申し立て

解雇の理由が、職場の権利を使ったことや差別(人種、性別、妊娠、家族の世話の責任など)であれば、一般保護(General protections)の申し立てもできます。これも解雇から21日以内です。不当解雇とは別の手続きです(「職場の差別とハラスメント」)。

結果

多くの事件は、FWC の調停(Conciliation)で解決します。FWC の説明では、4件のうち3件が調停で解決しています。解決しない場合は、FWC の委員が審理して決めます。

FWC が不当と判断した場合、まず復職(Reinstatement)を検討し、適切でなければ補償金を命じることがあります。補償金は失った収入についてだけで、精神的な苦痛などは対象外です。

補償金の上限は、年収の半分と、補償の上限額(2026–27年度はA$95,050)のうち低い方です。補償金の中央値は5〜7週分の給料です(FWC、2026年10月時点)。

手順

  1. 解雇の日付、告げられた理由、雇用主の正式な名前(給与明細に載っていることがある)を記録する。解雇の通知のメールや書面は保管する。
  2. FWC の申し立てができるかの確認ページ(新しいタブで開く)で質問に答え、対象かどうかを確かめる。対象なら申し立ての様式に進める。
  3. 解雇から21日以内に FWC に申し立てる。全ての情報がそろっていなくても申し立てられ、書類は後から出せる。
  4. 申立料を払う。経済的に深刻な困難がある人は、免除を申請できる。
  5. 雇用主が回答し、通常は申し立てから約5週間後に任意の調停が開かれる。
  6. 調停で解決しなければ、会議や審理を経て FWC が決める。

弁護士なしで申し立てができます。FWC の職場相談サービス(Workplace Advice Service)では、弁護士がいない、労働組合に入っていないなどの条件を満たす人が、無料の法律相談を受けられる場合があります。

費用

申立料は2026–27年度でA$92.70です。毎年7月1日に変わります(2026年10月時点)。

FWC が審理などの日程を決める前か、最初の日程の2日前までに取り下げれば、申立料は返金されます。

日本とのちがいと注意点だよ!

  • 期限は解雇から21日以内で、日本の感覚より大幅に短いことに注意してください。
  • 勤務期間が6か月(小規模事業者は12か月)未満の人は、不当解雇の申し立てができません。ただし、差別や権利の行使を理由とする解雇は、一般保護の申し立ての対象になりえます。
  • 本物の整理解雇であれば、不当解雇の救済は受けられません。
  • FWC は法律相談をしません。自分のケースが不当解雇に当たるかの判断は、職場相談サービスや弁護士に相談してください。無料の相談先は「無料の法律相談」にまとめています。
  • FWC は、多くの言語に翻訳した案内(Information in your language)を用意しています。通訳サービスは「無料の通訳サービス」で紹介しています。

この記事をシェアする

次に読むならこれ

関連する記事

仕事・税金解雇と退職(Ending employment)雇用主が従業員を解雇するときは、勤続年数に応じて1〜4週間(条件により5週間)の予告か、その分の支払いが必要です。整理解雇(Redundancy)では、勤続1年以上で一定の規模の雇用主なら、最長16週分の手当があります。辞めるときの予告期間はアワードや契約で決まり、最後の給料には未消化の年次有給休暇が含まれます。仕事・税金Fair Work Ombudsman(公正労働オンブズマン)と相談先Fair Work Ombudsman は、職場の権利と義務について無料で情報と助言を提供し、法令違反を調査する連邦政府の機関です。賃金や休暇の相談は電話 13 13 94 で受け付け、英語が苦手な人は通訳サービス(TIS、131 450)を無料で使えます。仕事・税金職場の差別とハラスメント(Discrimination, bullying and sexual harassment)人種、性別、年齢、妊娠、障害などを理由に、雇用主が従業員や応募者に不利益な扱いをすることは法律で禁じられています。職場のいじめやセクシュアルハラスメントも、公正労働委員会、人権委員会、州・準州の機関などに相談できます。相談先によって期限や手続きが違います。生活無料の法律相談(Legal Aid・Community Legal Centres)各州・準州には法律扶助委員会(Legal Aid)があり、電話での法律情報や簡単な助言は多くの場合無料です。裁判などで弁護士がつく法律扶助(grant of aid)を受けるには、収入・資産などの審査と、事案の審査があります。地域法律センター(Community Legal Centres)も無料の相談先です。生活無料の通訳サービス(TIS National、Translating and Interpreting Service)TIS Nationalは内務省が提供する通訳サービスで、131 450に電話すると24時間いつでも電話通訳を使えます。日本語にも対応しています。英語が苦手な人の多くは無料で使え、通常は連絡先の機関が費用を負担します。一部のビザで永住する人などは、書類の無料翻訳(Free Translating Service)も使えます。仕事・税金年次有給休暇(Annual leave)カジュアル以外の従業員には、全国雇用基準(NES)で年4週間の有給休暇があります。働き始めた日から少しずつたまり、使わなかった分は翌年に繰り越され、退職時には支払われます。取得には雇用主への申請が必要で、雇用主は合理的な理由がなければ断れません。