日本人のためのオーストラリア情報
仕事・税金 / 働く人の権利

アワード(Modern award、業種別の最低条件)

ひとことで言うと

アワードは、業種や職種ごとに最低賃金や割増、勤務時間などの最低条件を定めた法的な文書です。多くの従業員はアワードの対象で、自分に当てはまるアワードは Fair Work Ombudsman の Pay Calculator で調べられます。

目次
  1. アワードとは
  2. 手順
  3. 日本との違い・注意点
$
ここは大事だよ

条件や金額は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の情報を確認してください。個別の判断は、登録された専門家に相談してください。

アワードとは

アワード(award、正式には modern award)は、最低賃金と雇用条件を定めた法的な文書です。業種や職種ごとに作られていて、多くの雇用主と従業員が対象になります。

アワードに書かれていること

アワードには、その業種・職種のルールが書かれています。主な内容は次のとおりです。

  • 賃金(pay rates)
  • 割増賃金(penalty rates)と手当(allowances)
  • 勤務時間、休憩、シフト表(rosters)
  • 残業(overtime)
  • 問題が起きたときの解決の手順(dispute resolution)

アワードの対象の人は、アワードの条件に加えて、全国雇用基準(National Employment Standards、NES)の最低条件も受けられます。NES は Fair Work Act 2009 で定められた最低基準です。

アワードの種類

アワードは主に次の分け方で対象が決まります。

種類対象の決まり方例
業種別(industry award)雇用主の業種と、従業員の職種区分Cleaning Award、Hospitality Award
職種別(occupational award)従業員の職種Architects Award、Clerks Award
業種と職種の両方両方のルールHealth Services Award、Professional Award

多くは業種別です。まず業種別のアワードを確認し、当てはまらないときに職種別を確認します。1つの雇用主に、仕事内容の違う従業員がいれば、複数のアワードが適用されることがあります。

各アワードの「対象(coverage)」の条項に、誰が対象かが書かれています。多くは第4条です。

労使協定・雇用契約との関係

文書内容
アワード業種・職種ごとの最低条件。多くの従業員が対象
労使協定(enterprise agreement)1つの会社や会社のグループで交渉して決める条件。公正労働委員会(Fair Work Commission)が承認する。協定があるとアワードは適用されない
雇用契約(employment contract)雇用主と本人の間の契約。書面でも口頭でもよい

雇用契約で、NES やアワード・協定より低い条件を決めることはできません。条件の低い契約に署名しても、アワードと NES の権利は続きます。

アワードも協定も対象にならない人もいます。この場合は全国最低賃金と NES が適用されます(「最低賃金」)。

手順

自分のアワードと賃金を調べる流れです。

  1. Fair Work Ombudsman のPay Calculator(Pay and Conditions Tool)(新しいタブで開く)を開く。従業員か雇用主かを選ぶ。
  2. アワードがわからないときは「No, help me find my award」を選び、職種や業種で検索する。
  3. 表示されたアワードで、賃金、割増、手当、残業を計算する。
  4. アワードごとの賃金表(Pay guides)でも、フルタイム・パートタイム・カジュアルの最低賃金を確認できる。
  5. アワードの本文と対象の条項を読みたいときは、Awards のページ(新しいタブで開く)の一覧から探す。

Pay Calculator は、Fair Work Ombudsman の電話相談の担当者も使う計算ツールです。ツールの情報とアワードの内容が違う場合は、アワードが優先されます。

職場で問題があるときは、まず雇用主と話し合うのが多くのアワードの最初の手順です。解決しないときは Fair Work Ombudsman に相談できます。相談の窓口は「Fair Work Ombudsmanと相談先」にまとめています。

ここに注意してね!

  • オーストラリアでは、同じ時給でも業種・職種・時間帯・曜日で割増が変わることがあります。条件はアワードに書かれています。
  • 「マネージャーや専門職はアワードの対象外」とは限りません。職種区分をよく確認するよう Fair Work Ombudsman は案内しています。
  • 小売店の正式名は「General Retail Industry Award」です。一覧では G の項目にあります。
  • アワードの賃金は毎年見直されます。最新の額は Pay Calculator か賃金表で確認してください。

この記事をシェアする

次に読むならこれ

関連する記事

仕事・税金最低賃金(National Minimum Wage)オーストラリアで働く従業員には、在留資格や雇用形態にかかわらず最低賃金があります。アワードや労使協定の対象外の人に適用される全国最低賃金は、2026年7月1日から時給A$26.44です。多くの人は業種別のアワードで決まる最低賃金が適用されます。仕事・税金全国雇用基準(NES、National Employment Standards)全国雇用基準(NES)は、全国の労使関係制度の対象となる従業員に保障される最低条件です。週38時間の上限、年4週間の有給休暇、年10日の病気・介護休暇などが含まれます。アワードや雇用契約で NES を下回る条件を定めても無効です。カジュアルの人に適用されるのは一部です。仕事・税金正社員・パートタイム・カジュアルの違い(Full-time, part-time and casual)オーストラリアの従業員は主にフルタイム、パートタイム、カジュアルに分かれます。フルタイムとパートタイムは継続した雇用が前提で有給休暇があります。カジュアルは継続の約束がない代わりに、時給に割増(カジュアルローディング)が上乗せされます。仕事・税金Fair Work Ombudsman(公正労働オンブズマン)と相談先Fair Work Ombudsman は、職場の権利と義務について無料で情報と助言を提供し、法令違反を調査する連邦政府の機関です。賃金や休暇の相談は電話 13 13 94 で受け付け、英語が苦手な人は通訳サービス(TIS、131 450)を無料で使えます。仕事・税金給与明細(Pay slip)と記録(Record-keeping)雇用主は、給料日から1営業日以内に給与明細を渡す義務があります。現金払いでも同じです。雇用主は勤務時間と賃金の記録を7年間保管し、従業員が求めれば見せなければなりません。自分でも勤務時間を記録しておくと、給料の確認に役立ちます。仕事・税金年次有給休暇(Annual leave)カジュアル以外の従業員には、全国雇用基準(NES)で年4週間の有給休暇があります。働き始めた日から少しずつたまり、使わなかった分は翌年に繰り越され、退職時には支払われます。取得には雇用主への申請が必要で、雇用主は合理的な理由がなければ断れません。