大学の学費とローン(HECS-HELP・FEE-HELP)
大学の学費は、政府が一部を負担する「CSP」の枠と、全額を払う枠で大きく違います。オーストラリア市民などは、連邦政府の学生ローン(HECS-HELP・FEE-HELP)で学費を払い、収入が一定額を超えてから税の仕組みを通して返せます。学生ビザの留学生や多くの永住者は、これらのローンを原則として使えません。
条件や金額は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の情報を確認してください。個別の判断は、登録された専門家に相談してください。
大学の枠とローンのしくみ
CSPと全額負担の枠
大学(高等教育機関)の席には、主に次の2種類があります。
| 種類 | 内容 | 使えるローン |
|---|---|---|
| 政府助成の枠(Commonwealth supported place、CSP) | 政府が学費の一部を払う。残りの「学生負担額(student contribution amount)」を学生が払う | HECS-HELP |
| 全額負担の枠(full fee-paying place) | 学費を学生が全額払う。学費は大学ごとに決まる | FEE-HELP |
CSPの学生負担額は、HECS-HELPで払うか、大学に前払いします(Study Assistのページ(新しいタブで開く))。
HECS-HELPを使える人
HECS-HELP(HECSとも呼ばれます)は、CSPの学生負担額を払うための連邦政府のローンです。政府が大学に直接払い、学生は収入が一定額を超えてから返します。
使えるのは、次のいずれかに当てはまる人です。
- オーストラリア市民で、コースの一部でもオーストラリアに住んで学ぶ人
- ニュージーランドの特別カテゴリービザ(Special Category Visa、SCV)を持つ人などで、長期の居住の条件を満たし、コースの全部をオーストラリアに住んで学ぶ人
- 人道上の永住ビザ(permanent humanitarian visa)を持つ人など
- 太平洋諸国向けの永住ビザ(Pacific engagement visa、PEV)を持つ人
このほか、CSPで学んでいること、期限(census date)までに大学に申請書を出すこと、納税者番号()と学生番号(USI)があることなどの条件があります。
FEE-HELPを使える人
FEE-HELPは、全額負担の枠の学費を払うためのローンです。対象はHECS-HELPとほぼ同じですが、海外で資格を取った専門職向けの橋渡しのコース(bridging studies)を認められた永住者も使えます。
一部の学部課程では、FEE-HELPに20%のローン手数料(loan fee)がかかります。たとえばA$3,000の科目なら、借入額はA$3,600になります。大学院、大学進学準備コース(enabling courses)などには手数料はかかりません。
借りられる上限
HELPのローンには、生涯で借りられる上限(HELP loan limit)があります。借入上限のページ(新しいタブで開く)に載っている2027年の上限は次のとおりです。
| 対象 | 上限 |
|---|---|
| ほとんどの学生 | A$134,558 |
| 医学・歯学・獣医学(初めての登録につながるコース)、一部の航空のコース | A$193,259 |
上限は毎年1月1日に見直されます。返済すると、その分をまた借りられるようになります。
借金は毎年増える(indexation)
HELPの借金には、生活費の変化に合わせて毎年6月1日に「indexation」が加わります。利子のように借金が増えます。率は毎年変わり、税務署(Australian Taxation Office、ATO)のサイトで公表されます。
手順
- 入学するコースが、CSPか全額負担の枠かを大学で確認する。
- ローンを使う場合は、大学から届く電子申請書(electronic Commonwealth Assistance Form、eCAF)を、各学期の期限(census date)までに出す。
- ローンを使わない場合は、期限までに大学に前払いする。払わないと、CSPの登録が取り消されます。
- 卒業後、働き始めたら、勤務先にHELPの借金があることを伝える。給料から返済分が差し引かれる。
- 毎年の確定申告(tax return)で、ATOが返済額を計算する。
借金の残高は、からATOのオンラインサービスで確認できます。ATOの電話は13 28 61です。
費用
学生負担額の上限(CSP)
学生負担額のページによると、2027年1月1日からの1年間の上限(フルタイム1年分、EFTSL)は次のとおりです(2026年10月時点の公表)。
| 分野 | 年間の上限 |
|---|---|
| 法学、会計、経営、経済、商学、コミュニケーション、社会と文化 | A$18,025 |
| 医学、歯学、獣医学 | A$14,046 |
| 保健、建築環境、コンピューター、視覚・舞台芸術、工学、測量、環境学、理学、病理学など | A$9,880 |
| 教育、英語、数学・統計、看護、先住民の言語・外国語、農学など | A$4,908 |
実際の額は、科目ごとの重さ(EFTSL)をかけて計算します。2021年1月1日より前に入学して続けている学生には、別の上限があります。
全額負担の枠の学費は大学とコースごとに違い、各大学のサイトに載っています。
返済(2026-27年度)
返済は、オーストラリアの税の仕組みを通して行います。ATOのページ(新しいタブで開く)では、2025-26年度から、最低額を超えた部分だけに率をかける計算になったと説明しています。
| 返済の対象になる収入(repayment income) | 返済額 |
|---|---|
| A$69,528以下 | なし |
| A$69,529〜A$129,717 | A$69,528を超えた分の15% |
| A$129,718以上 | A$9,028+A$129,717を超えた分の17% |
Study Assistの説明では、この計算の額と収入の10%のうち、低いほうが返済額になります。返済の対象になる収入には、課税所得のほか、会社の福利厚生(fringe benefits)や任意のスーパーの拠出なども含まれます。
いつでも任意で返済(voluntary repayment)できます。ただし、任意の返済をしても、その年の義務の返済額は減りません。
日本とのちがいと注意点だよ!
- 学生ビザの留学生や、人道上のビザ以外の多くの永住者は、上の条件に当てはまらないため、HECS-HELPを使えません。学費は大学に払います。
- HELPの借金は、本人が亡くなると、残りは取り消されます。ほかの人が引き継ぐことはありません。
- 海外に引っ越しても、返済の義務は続きます。12か月のうち183日以上を海外で暮らす予定のときは、出国から7日以内にATOに届け出(Overseas travel notification)をします。そのうえで、毎年、海外の収入を含む全世界の収入(worldwide income)を報告します。
- 非居住者で、2025-26年度の全世界の収入がA$16,750以下なら、報告の代わりに「non-lodgment advice」を出します。報告の期限は毎年10月31日です。
- 日本に帰国する場合も、この届け出と報告が必要です。手続きは、ATOか登録税理士(registered tax agent)に相談してください。
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