学生ローン(HELP)の返済(Study and training support loans)
大学などの学費を借りるHELPなどの学生ローンは、収入が一定額を超えると、確定申告を通して返済します。2025-26年度から、最低額を超えた部分だけに率をかける計算に変わりました。海外に住む場合も、収入の報告と返済の義務が続きます。
条件や金額は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の情報を確認してください。個別の判断は、登録された専門家に相談してください。
返済のしくみ
政府の学生ローンは、収入に応じて返す仕組み(income contingent loan)です。返済は、税務署(Australian Taxation Office、ATO)が税の仕組みを通して集めます。借りる条件や学費は「学費とローン(HECS-HELP)」の記事で扱っています。
対象になるローン
ATOの返済額のページ(新しいタブで開く)では、次のローンに同じ基準額と率が使われます。
- 高等教育ローン(Higher Education Loan Program、HELP。以前のHECS)
- 職業教育のローン(VET Student Loan、VSL)
- Student Financial Supplement Scheme(SFSS)
- Student Start-up Loan(SSL)、ABSTUDY Student Start-up Loan
- 見習いのローン(Australian Apprenticeship Support Loan、AASL。以前のTrade Support Loan)
複数のローンがある場合は、上の順番(HELPが最初)で返済に充てられます。
義務の返済(compulsory repayment)
- 返済の対象になる収入(repayment income)が最低額を超えると、返済が始まります。まだ在学中でも同じです。
- 確定申告でローンの情報を書く必要はありません。ATOが返済額を計算し、税額の通知(notice of assessment)に載せます。
- 返済額は本人の収入だけで決まります。親や配偶者の収入は関係ありません。
- 配偶者や扶養家族がいて、家族の収入が低いため税(Medicare levy)が減額・免除になる場合は、義務の返済はありません。
返済の対象になる収入は、次の合計です。
- 課税所得(first home super saverで引き出した額を除く)
- 申告対象の福利厚生(reportable fringe benefits)
- 投資の純損失(賃貸の純損失を含む)
- 申告対象のスーパーへの拠出(reportable super contributions)
- 非課税の海外勤務の所得
返済額の計算(2026年10月時点)
2025-26年度から、最低額を超えた部分だけに率をかける計算(marginal rates)になりました。2026-27年度の基準は次のとおりです。
| 返済の対象になる収入 | 返済額 |
|---|---|
| A$0〜A$69,528 | なし |
| A$69,529〜A$129,717 | A$69,528を超えた分1ドルにつき15セント |
| A$129,718〜A$186,050 | A$9,028+A$129,717を超えた分1ドルにつき17セント |
| A$186,051以上 | 返済の対象になる収入全体の10% |
2025-26年度の最低額はA$67,000です。基準額と率は毎年、平均週給の変化に合わせて見直されます。ATOの「Study and training loan repayment calculator」で返済額の目安を計算できます。
給料からの差し引き
働いている人は、雇用主に学生ローンがあることを伝える必要があります。雇用主は、源泉徴収(PAYG withholding)で返済分を上乗せして差し引きます。
- 新しい仕事を始めるとき:申告書(Tax file number declaration)でローンの種類を選ぶ
- すでに働いているとき:源泉徴収申告書(Withholding declaration)で伝える
- 完済したとき:新しい源泉徴収申告書で、ローンがなくなったことを伝える
差し引かれた額は、給料日ごとにローンの残高を減らすわけではありません。確定申告をして返済額が計算された後、まとめて充てられます。
物価に合わせた調整(indexation)
ローンの残高は、毎年6月1日に物価の変化に合わせて調整されます。返済しなければ残高が増えることもあります。調整の率はATOのページ(新しいタブで開く)に載っています。
任意の返済(voluntary repayment)
- いつでも任意で返済できます。任意の返済は返金されません。
- 任意で返済しても、ローンが残り、収入が最低額を超えていれば、義務の返済は別にあります。
- 全額を返すつもりなら、確定申告の前に払うのがよいとATOは案内しています。
- 6月1日の調整の前に反映させるには、処理の時間を見込む必要があります。電子的な支払いや郵便局での支払いは、反映まで最大4営業日かかります。
- 本人などが行った任意の返済は、税の控除の対象になりません。
20%の減額
2025年6月1日時点にあった学生ローンの残高は、20%減額されました。ATOは処理を終えたとしています。減額後に残高が払いすぎの状態になった場合は、返金されることがあります。自分の残高はATOのアプリかATOのオンラインサービスで確認できます。
海外に住む場合
HELP・VSL・AASLがある人は、海外に住んでもオーストラリアに住む人と同じ返済の義務があります。
- 長く海外に住む予定の人は、連絡先を更新し、海外渡航の届出(Overseas travel notification)を出します。法律(Higher Education Support Act 2003)では、HELPの借金がある人が183日以上海外にいるつもりで出国するときは、出国から7日以内に届け出ます。そのつもりがなくても、12か月のうちに183日以上海外にいることになった場合は、183日を過ぎてから7日以内に届け出ます。届出の方法はATOの海外での返済のページ(新しいタブで開く)にあります。
- 毎年、全世界の所得(worldwide income)を報告するか、報告が不要という届出(non-lodgment advice)を出します。
- 2025-26年度は、全世界の所得がA$16,750(最低額の25%)以下なら、報告不要の届出を出します。これを超えるときは報告が必要です。
- 報告の期限は、オーストラリアの年度(7月1日〜6月30日)ごとに10月31日です。登録税理士を通すと期限が変わる場合があります。
- 海外の所得は、年度の平均為替レートでオーストラリア・ドルに換算します。
- 所得の内容によって、義務の返済か海外での賦課金(overseas levy)がかかります。
ATOへの海外からの電話は +61 2 6216 1111(平日8時〜17時、オーストラリア東部夏時間)です。
亡くなった場合・破産した場合
亡くなった人のローンは、亡くなる前の期間の返済額だけが遺産から払われ、残りは取り消されます。家族が残りを払う必要はありません。一方、破産しても、学生ローンは免除されません。
手順
- ATOのアプリかのATOオンラインサービスで、ローンの残高を確認する。
- 働き始めたら、TFN申告書か源泉徴収申告書でローンがあることを雇用主に伝える。
- 毎年、確定申告をする。返済額は税額の通知に載る(「確定申告(Tax return)」)。
- 必要なら、任意で返済する。6月1日の調整の前に反映させたいときは、早めに払う。
- 183日以上海外にいる場合は、期限までに海外渡航の届出を出し、毎年10月31日までに全世界の所得を報告する(「帰国時の税金の手続き」)。
日本とのちがいと注意点だよ!
- 返済の額は、借りた額ではなく、その年の収入で決まります。収入が最低額以下の年は、義務の返済はありません。
- 日本に帰国しても、HELPなどの返済の義務は続きます。毎年の報告を忘れないでください。
- 自分の状況での返済額や海外の所得の扱いは、ATOか登録税理士(「登録税理士と相談先」)に確認してください。
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