譲渡所得税(CGT、Capital gains tax)の基本
ひとことで言うと
不動産・株・暗号資産などを売って得た利益には、譲渡所得税(CGT)がかかります。別の税ではなく所得税の一部で、確定申告で申告します。12か月以上持った資産の50%割引や、自宅の非課税などがありますが、外国居住者・一時居住者には制限があります。
ここは大事だよ
条件や金額は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の情報を確認してください。個別の判断は、登録された専門家に相談してください。
CGTとは
譲渡所得税(Capital gains tax、CGT)は、資産を手放して得た利益にかかる税です。名前は「税」ですが、所得税の一部で、別の税ではありません(税務署(Australian Taxation Office、ATO)のページ(新しいタブで開く))。
- 資産を手放す(ふつうは持ち主でなくなる)と、「CGTイベント(CGT event)」が起きることがあります。
- その年の確定申告で、譲渡益(capital gain)と譲渡損失(capital loss)を申告します。
- 譲渡益は課税所得に加わり、その人の所得税率で課税されます。
- 譲渡損失は、同じ年や翌年以降の譲渡益と相殺できます。
CGTの対象になる主な資産
ATOの一覧では、次のようなものが対象です。
- 不動産:更地、事業用の建物、賃貸物件、別荘など。ほとんどの不動産が対象です。
- 株、投資信託の持ち分(units)、上場投資信託(ETF)
- 暗号資産(crypto assets)
- 外国の通貨(為替の変動で利益や損失が出る)
- 賃借権(lease)、営業権(goodwill)などの無形の資産
- 美術品・宝石・切手などの収集品(collectables)。A$500以下で手に入れたものは対象外です。
- 個人で使う物(personal use assets。ボート、家具、電気製品など)。手に入れた額がA$10,000を超えるものだけが対象で、損失は無視されます。
CGTがかからない主な資産
- 自分が住む家(main residence)。ただし、一部を貸している、事業に使っている、土地が2ヘクタールを超えるなどの場合はかかることがあります。
- 車とバイク
- 1985年9月20日より前に手に入れた資産
- 賞金やギャンブルの勝ち、仕事や病気・けがの補償金など
50%の割引(CGT discount)
次の両方に当てはまると、譲渡益を50%減らせます。
- 資産を12か月以上持っていた(取得の日とCGTイベントの日は数えない)
- 税務上のオーストラリア居住者である
売買契約がある場合、CGTイベントの日は代金の決済の日ではなく、契約の日です。不動産の売却はふつうこの形です。
割引を使う前に、ほかの資産の譲渡損失を先に差し引きます。会社は割引を使えません。2026-27年度の連邦予算で発表されたCGTの変更は、2026年の確定申告には当てはまらないとATOは案内しています(2026年10月時点)。
外国居住者・一時居住者
税務上の居住者かどうかは、ビザや永住とは別の基準で決まります(「税務上の居住者・非居住者」)。ATOのページでは、次のように説明されています。
- 外国居住者と一時居住者(temporary resident)は、原則として「課税対象のオーストラリアの財産(taxable Australian property)」だけにCGTがかかります。オーストラリアの不動産などです。
- 一時居住者とは、一時的なビザを持ち、本人も配偶者も市民・永住者などでない人です。税務上は居住者でも、CGTは外国居住者と同じ扱いになります。
- 2012年5月8日より後に得た譲渡益には、外国居住者・一時居住者は50%の割引を全部は使えません。居住者だった期間の分だけ、割引を按分で使える場合があります。
- 外国居住者は、自宅の非課税(main residence exemption)を原則として使えません。「人生の出来事の条件(life events test)」を満たす場合は別です。
- オーストラリアの不動産を売るとき、外国居住者の源泉徴収(Foreign resident capital gains withholding)がかかることがあります。
居住者になるとき・やめるとき
ATOの居住の変化のページの要点です。
- 一時居住者でない形で税務上の居住者になると、その日の時価で資産を手に入れたとみなされます。オーストラリアの不動産などは除きます。
- 税務上の居住者でなくなると、オーストラリアの不動産などを除く資産を、その日の時価で手放したとみなされます。代わりに、居住者に戻るか売るまで課税対象の財産として扱う選択もできます。
- 居住者でなくなるときに一時居住者だった場合は、手放したとはみなされません。
- 一時居住者が永住者になるなどして一時居住者でなくなると、その日の時価で国外の資産を手に入れたとみなされます。
手順
- 資産を手に入れた日、金額、費用の記録を残しておく。
- 資産を売ったり手放したりしたら、CGTイベントの日と受け取った額を確認する。
- 受け取った額から、取得の費用など(cost base)を引いて、譲渡益か損失を計算する。ATOの計算ツールも使える。
- ほかの譲渡損失を差し引き、条件に当てはまれば50%の割引を使う。
- 確定申告で申告する(「確定申告(Tax return)」)。
日本とのちがいと注意点だよ!
- オーストラリアのCGTは所得税の一部で、譲渡益はほかの所得と合わせて課税されます。
- 一時的なビザで住む人は、税務上の居住者でも、オーストラリアの不動産などにしかCGTがかからない扱いになります。永住ビザを取ると扱いが変わります。
- 帰国などで居住者でなくなるときは、株などを手放したとみなされることがあります(「帰国時の税金の手続き」)。
- 日本にある資産の売却や、日本での課税との関係は「海外の所得と税金」で扱っています。個別の計算はATOか登録税理士(「登録税理士と相談先」)に確認してください。
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仕事・税金経費の控除(Deductions)確定申告では、所得を得るためにかかった費用などを控除(deduction)として差し引けます。仕事の経費を控除するには、自分で払って精算されていないこと、仕事に直接関係すること、記録があることの3つが必要です。2026–27年度からは、条件を満たす居住者に最大A$1,000の標準控除が自動で適用されます。仕事・税金GSTの基本(Goods and Services Tax)GST(物品サービス税)は、オーストラリアで売られる多くの商品・サービスにかかる10%の税金です。事業の売上(GST turnover)がA$75,000以上になる場合などはGSTの登録が必要で、登録した事業者は価格にGSTを含め、税務署(ATO)に納めます。基本的な食品など、GSTがかからないもの(GST-free)もあります。仕事・税金学生ローン(HELP)の返済(Study and training support loans)大学などの学費を借りるHELPなどの学生ローンは、収入が一定額を超えると、確定申告を通して返済します。2025-26年度から、最低額を超えた部分だけに率をかける計算に変わりました。海外に住む場合も、収入の報告と返済の義務が続きます。
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仕事・税金所得税の仕組み(Income tax)オーストラリアの所得税は、7月1日〜翌年6月30日の1年間の課税所得に累進税率をかけて計算します。税率は、税務上の居住者・非居住者・ワーキングホリデーメーカーで異なります。居住者には非課税枠(A$18,200)とメディケア税(2%)があり、非居住者にはどちらもありません。仕事・税金税務上の居住者・非居住者(Residency for tax purposes)オーストラリアの税金では、税務上の居住者か非居住者かで税率・非課税枠・申告する所得の範囲が変わります。判定はビザの種類ではなく、ATOが示す居住者テスト(resides test など)で行います。ワーキングホリデーの人の多くは非居住者とされます。仕事・税金確定申告(Tax return)オーストラリアの確定申告は、7月1日〜翌年6月30日の1年分を申告します。自分で申告する場合の期限は10月31日です。登録税理士(registered tax agent)に頼む場合は、10月31日までに依頼すれば、それより後に申告できることがあります。オンラインならmyGov経由のmyTaxで申告できます。仕事・税金海外の所得と税金(Foreign and worldwide income)オーストラリアの税務上の居住者は、世界中で得た所得を確定申告に含めます。外国で払った税金は、外国税額控除(FITO)で差し引ける場合があります。一時居住者は国外の所得の多くが課税されず、外国の居住者は原則としてオーストラリアで生じた所得だけを申告します。仕事・税金帰国時の税金の手続きオーストラリアを離れるときも、その年度の確定申告が必要です。通常は7月1日〜10月31日に申告し、myGovとATOをつないでおけば国外からmyTaxで申告できます。6月30日より前に完全に出国し、その後オーストラリアの所得がない人などは、紙の申告書で早めに申告できる場合があります。住まい外国人の不動産購入(Foreign investment in residential property、FIRB)オーストラリアの住宅用の土地を外国人(Foreign person)が買うには、原則として購入前に税務署(ATO)の承認と手数料が必要です。2025年4月1日から2029年6月30日までは、中古住宅の購入が原則禁止されています。永住ビザの人など、承認が不要な人もいます。仕事・税金登録税理士(Tax agent)と相談先報酬を受け取って確定申告の作成・提出や税の助言ができるのは、税理士委員会(Tax Practitioners Board、TPB)に登録した税理士(tax agent)とBAS代行者(BAS agent)です。依頼する前に、TPBの登録簿で登録されているかを確認できます。