日本人のためのオーストラリア情報
医療・保険 / 医療制度

医療制度の全体像(メディケア、公立病院、GP、民間保険、PBS)

ひとことで言うと

オーストラリアの医療は、公的制度のメディケア(Medicare)と公立病院を土台に、民間医療保険が上乗せされる仕組みです。ふだんの不調はまずGP(かかりつけ医)にかかり、薬はPBSで安くなります。メディケアを使えるのは主に市民・永住者・NZ市民と協定国からの訪問者で、日本人の旅行者・留学生・ワーホリは原則として対象外です。

目次
  1. 公的な医療と民間の医療
  2. 日本との違い・注意点
ここは大事だよ

条件や金額は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の情報を確認してください。個別の判断は、登録された専門家に相談してください。

公的な医療と民間の医療

オーストラリアには公的な医療と民間の医療の両方があります。公的な部分の中心が(Medicare)と公立病院です。民間医療保険(Private health insurance)は、その外側の費用を補います。

メディケア(Medicare)

メディケアは、オーストラリアの国民皆保険にあたる制度です。1984年2月1日に始まりました。費用の一部は、税金と一緒に納めるメディケア税(Medicare levy)でまかなわれています。

保健・障害・高齢化省(Department of Health, Disability and Ageing)のページ(新しいタブで開く)では、メディケアを使える人を次のように説明しています。

  • オーストラリア市民
  • ニュージーランド市民
  • オーストラリアの永住者
  • 相互医療協定(Reciprocal Health Care Agreement、RHCA)を結んでいる国からの人

日本は相互医療協定の相手国に入っていません(「相互医療協定(RHCA)と日本」)。

メディケアが費用の一部または全部を負担するもの、しないものの例は次のとおりです(Services Australiaのページ(新しいタブで開く)より)。

負担するもの負担しないもの
GP・専門医の診察救急車
X線などの検査・画像診断歯科の大部分
医師が行う手術・処置の大部分眼鏡・コンタクトレンズ・補聴器
検眼士(optometrist)の目の検査美容整形
公立病院に公的患者(public patient)として入院・受診する費用予約をすっぽかした・キャンセルした診察

メディケアが払う対象のサービスと基準の料金は、メディケア給付表(Medicare Benefits Schedule、MBS)に載っています。

GP(かかりつけ医)

体調が悪いとき、最初にかかるのはGP(General Practitioner、一般医)です。GPは診察・処方・予防接種・健診などを行い、必要なら専門医への紹介状(referral)を書きます。メディケアから専門医の診察料の払い戻しを受けるには、原則として紹介状が必要です。

GPが「バルクビリング(bulk billing)」をしていれば、患者の支払いはありません。していない場合は、メディケアの負担分との差額(gap fee)を払います。探し方は「GPの探し方と受診の流れ」にまとめています。

公立病院と私立病院

公立病院の運営は州・準州政府の役割です。メディケアの対象者が公立病院で公的患者として受ける治療は、救急外来(emergency department)を含めて費用がかかりません。

私立病院や、公立病院で私的患者(private patient)になる場合、メディケアは医師の費用の一部を負担します。病室代・薬・手術室の費用は負担しません。

民間医療保険

民間医療保険には2種類あります。

  • 入院の保険(hospital cover):私的患者として入院したときの費用の一部または全部
  • 一般の保険(general treatment、extras):歯科・眼科など、メディケアが通常負担しないもの

救急車の費用は州・準州によって違い、民間医療保険で備えることもできます。

薬の補助(PBS)

医薬品給付制度(Pharmaceutical Benefits Scheme、PBS)は、処方薬を安くする制度です。5,200を超える薬が対象になっています。多くのPBSの薬は、患者が上限額(co-payment)まで払い、残りを政府が払います。詳しくは「薬の補助(PBS)」で扱います。

国・州・カウンシルの役割

担い手主な役割
連邦政府MBS・PBSの方針、民間医療保険の規制、薬と医療機器の規制(TGA)、予防接種プログラムのワクチン購入
州・準州政府公立病院の運営、救急車と救急サービス、公的な歯科診療所、地域の保健・精神保健サービス
両方で分担公立病院の費用、がん検診などの予防、医療者の登録
カウンシル地域の公衆衛生、在宅ケアなど

メディケアの対象外の人

内務省(Department of Home Affairs)のページ(新しいタブで開く)では、多くの訪問者はメディケアの対象外で、滞在中の医療費は全額自己負担になると説明しています。公立病院でも私立病院でも、私的患者として扱われます。内務省は、メディケアの対象外のすべての訪問者に、民間の医療保険に入ることを強くすすめています。

留学生はビザの条件として留学生保険()が必要です。旅行者とワーキングホリデーの人の保険は「旅行保険とワーホリの保険」で扱っています。

日本とのちがいと注意点だよ!

  • 日本では住民の多くが公的医療保険に入りますが、オーストラリアのメディケアは市民・永住者などに限られます。日本のパスポートで滞在する旅行者・留学生・ワーホリは、原則としてメディケアを使えません。
  • 日本のように大きな病院へ直接行く受診の仕方ではなく、まずGPにかかり、必要に応じて紹介状で専門医へ進みます。
  • 救急車はメディケアの対象外です。費用は州・準州によって違います。
  • 命にかかわる緊急時は「000」に電話します。かけ方は「救急(000)」にまとめています。

この記事をシェアする

次に読むならこれ

関連する記事

医療・保険メディケアの対象者と登録(Medicare enrolment)メディケア(Medicare)に登録できるのは、オーストラリアに住む市民・NZ市民・永住者・永住ビザの申請者(条件あり)・大臣令(Ministerial Order)の対象となる一部の一時ビザの人などです。登録はmyGovのオンラインか申込書で行います。日本のパスポートの旅行者・留学生・ワーホリは、原則として対象外です。医療・保険相互医療協定(Reciprocal Health Care Agreement、RHCA)と日本オーストラリアが相互医療協定を結んでいるのは11か国で、日本は含まれていません(2026年10月時点)。そのため日本から来る旅行者・留学生・ワーホリは協定によるメディケアを使えず、医療費は自己負担になります。留学生はOSHCがビザの条件で、旅行者とワーホリは民間の保険が強くすすめられています。医療・保険GP(かかりつけ医、General Practitioner)の探し方と受診の流れ体調が悪いときは、まず近くのGP(一般医)にかかります。GPは政府のhealthdirectのサービス検索(Service Finder)で地域と条件から探せます。予約時にバルクビリングかどうか、料金がいくらかを確認すると安心です。メディケアの対象外の人は、診察料を全額払います。医療・保険緊急通報・救急(トリプルゼロ、Triple Zero 000)オーストラリアの緊急通報は「000」で、警察・消防・救急車の共通番号です。携帯電話からは112でもつながります。聴覚・発話に障害がある人はTTYで106を使えます。SMSでは通報できません。命にかかわるときは000に電話し、救急車を頼みます。医療・保険民間医療保険の仕組み(Private health insurance)オーストラリアの民間医療保険は、入院の保険(hospital cover)、入院以外の治療の保険(general treatment、extras)、救急車の保険の3種類です。加入は義務ではありませんが、私費の患者として医師を選ぶ、歯科や理学療法の費用を補う、といった使い方ができます。入院の保険はGold・Silver・Bronze・Basicの4段階に分かれています。医療・保険薬の補助(PBS、Pharmaceutical Benefits Scheme)医薬品給付制度(PBS)の対象の処方薬は、2026年10月時点で1回の処方につき最大A$25.00(コンセッションカードがあればA$7.70)で買えます。使えるのはメディケアカードを持つオーストラリアの居住者と、相互医療協定(RHCA)の国からの訪問者などです。1年の支払いが基準額に達すると、さらに安くなります(PBSセーフティネット)。医療・保険留学生保険(OSHC、Overseas Student Health Cover)学生ビザ(subclass 500)では、本人と同行する家族がOSHCに入り、滞在中ずっと維持することがビザの条件です。保険はオーストラリア到着日から始まっている必要があります。OSHCはGP・入院・救急車などを補償しますが、歯科・眼科などは基本の保険に含まれません。医療・保険旅行保険とワーホリの保険(Travel insurance)日本から来る旅行者とワーキングホリデーの人は、原則としてメディケア(Medicare)の対象外で、医療費は全額自己負担です。内務省は、メディケアの対象外の訪問者に民間の医療保険を強くすすめています。保険は補償内容・除外事項・救急車の扱いを確かめて選びます。