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プールと子どもの水難事故(Pool safety)

在住駐在
ひとことで言うと

家庭のプールでの溺水は、5歳未満の子どもの防げる死因の大きな一つです。どの州・準州でも、水深30cmほどまで水を張れるプールには、子どもが入れない柵(safety barrier)が法律で求められます。登録や定期検査の決まりは州ごとに違います。見守り・柵・水に慣れる練習・心肺蘇生の4つの対策と、州ごとの規則をまとめました。

目次
  1. 家庭のプールと子どもの溺水
  2. 州・準州ごとの違い
  3. 手順
  4. 費用
  5. 日本との違い・注意点

家庭のプールと子どもの溺水

家庭のプールでの溺水は、5歳未満の子どもの防げる死因の大きな一つです(NSW州政府のページ(新しいタブで開く))。ビクトリア州の建築規制機関(Building and Plumbing Commission)のページ(新しいタブで開く)では、2024年6月30日までの1年間に、オーストラリアで5歳未満の子ども15人が溺れて亡くなりました。その半分は家庭のプールでの事故だったとしています。

4つの対策(Keep Watch)

水難救助の団体、ロイヤル・ライフ・セービング(Royal Life Saving Society – Australia)は、0〜4歳の子どもの溺水を防ぐため、次の4つを勧めています(Keep Watchのページ(新しいタブで開く))。1つがうまくいかなくても、ほかの対策で守れるよう、4つを合わせて行います。

対策内容
見守る(Supervise)水の中や近くにいる子どもから目を離さない。手の届く距離にいて、すぐ水に入れるようにする。年上のきょうだいに見守りを任せない
近づけない(Restrict)自動で閉まって鍵がかかる門のついた柵でプールを囲む。浴室のドアを閉める。プール・スパ・タンクにふたをする。池に網をかける。おむつ用バケツのふたを閉める
教える(Teach)水のまわりでの決まりを教え、水に慣れさせる。泳げる子どもも溺れることがあり、見守りの代わりにはならない
対応する(Respond)心肺蘇生(CPR)を学ぶ。緊急時は000に電話する

ロイヤル・ライフ・セービングは、子どもが見当たらないときは、ほかの場所より先に、家の中と外の水のある場所を確かめるよう案内しています。深さが30cmを超えるビニールプールなども、州・準州の法律に従って柵が必要としています。

柵の主な決まり(NSWの例)

柵の細かい基準は州ごとに違います。NSW州政府のページに載っている、NSWの柵の主な基準です。

  • 柵の高さは地面から1.2m以上
  • 柵の下のすき間は10cm以下、縦の棒のすき間も10cm以下
  • 境界の塀を柵の一部にする場合は高さ1.8m
  • 柵の外側に、子どもの足がかりになるもの(木、植木鉢、バーベキュー台、いす、おもちゃなど)を置かない「登れない範囲(non-climbable zone)」を90cm保つ
  • 門はプールの外側に向かって開き、どの位置からでも自動で閉まり、閉まると自動で鍵がかかる
  • 門を開けたままにしない
  • プールの近くに心肺蘇生の手順を示す看板(CPR sign)を、3m離れて読める状態で掲げる

州・準州ごとの違い

プールの柵はどの州・準州でも求められますが、登録や検査の決まりは違います。下の表は各州の公式ページで確認できた主な点で、細かい条件はそれぞれのページに載っています。

州・準州主な決まり
NSW30cmを超える深さまで水を張れるプール・スパに法律が適用され、持ち運べるプールも含む。プールは州のプール登録簿(Swimming Pool Register)への登録が必要。カウンシルか登録検査員の検査で適合証明(certificate of compliance)が出され、有効期間は3年。家を売る・貸すときの決まりもある
VIC30cmを超える水を入れられるプール・スパ(ビニールプールを含む)は、土地の所有者がカウンシルに登録する。登録された検査員の検査を受け、柵の適合証明書をカウンシルに出す。4年ごとに検査を受けて新しい証明書を出す。子どもが住んでいなくても柵が必要(Building and Plumbing Commission)
QLDプールの登録が法律で必要で、登録しないと罰金がある。所有者は柵を法律に合わせて維持し、子どもが登れる物を取り除く。借りている人も、門を閉め、登れる物を取り除く義務がある。ビニールプールも条件によって対象になる(qld.gov.au(新しいタブで開く)、QBCC(新しいタブで開く))
WA30cmを超える深さの水があるプール・スパ・持ち運べるプールに柵が必要(一部の遠隔地を除く)。カウンシルが柵を検査し、検査の間隔は最長4年。検査の費用は多くの場合、年1回の固定資産税(rates)の通知に含まれる(WA州政府(新しいタブで開く))
SAすべてのプール・スパに、所有者が維持する切れ目のない柵が必要。柵は高さ1.2m以上。門はプールの外側に開き、自動で閉まり、留め金は地面から1.5m以上の高さ。1993年7月1日より前に作られたプールの家を売るときは、決済までに柵を基準に合わせる必要がある(SA州政府(新しいタブで開く))
ACT30cmを超える深さまで水を張れる家庭のプール・スパ(子ども用プールを含む)が対象。2024年5月1日に新しい制度が始まり、2028年5月1日からは現在の基準に合う柵が必要。柵の維持と、使わないときに門・ドア・ふたを閉めることは、2024年5月1日から罰則の対象。家を売る・貸すときにプールの情報の開示が必要(ACT政府(新しいタブで開く))
TAS30cm以上の深さの水が入るプール・スパに柵が必要(1994年以降に設置されたもの)。ビニールプールや移動式のプールも含む。柵の設置は免許のある建築業者が行い、建築検査官(building surveyor)が確認する。柵の維持は所有者の責任(TAS州政府(新しいタブで開く))
NT1.8ヘクタール未満の住宅地のプール・スパ(持ち運べるものを含む)が対象で、30cm以上の深さまで水を張れるものがプールにあたる。2003年1月1日より後に設置したプールは、基準に合う柵と、所有者名義の適合証明書(compliance certificate)が必要。基準は設置時期や売買・賃貸の有無で変わる(NT政府(新しいタブで開く))

手順

家にプールがあるとき

  1. 住んでいる州・準州で、プールの登録が必要か確認する(上の表)。
  2. 柵と門が基準に合っているか確認する。自動で閉まって鍵がかかるか、柵のまわりに足がかりになる物がないかを見る。ロイヤル・ライフ・セービングは、夏の前に柵を点検するよう勧めている。
  3. 検査や適合証明が必要な州では、カウンシルか登録された検査員に依頼する。
  4. 子どもがプールの近くにいるときは、大人が手の届く距離で見守る。
  5. 心肺蘇生(CPR)の講習を受け、ときどき復習する。

家を借りているとき

QLDでは、借りている人にも、プールの門を閉め、子どもが柵を越えるのに使える家具などを取り除く義務があります。柵や門の不具合に気づいたら、家主や不動産会社に連絡してください。修理の頼み方は「修理の依頼と緊急修理」にまとめています。

子どもが溺れたとき

すぐに000に電話し、救急車(ambulance)を呼びます。ロイヤル・ライフ・セービングは、心肺蘇生をすぐに始めることの大切さを強調しています。応急手当の基本は「応急手当」の記事で扱っています。

費用

プールの登録や検査の料金は、州・カウンシルや検査する人によって違います。

  • NSW:自分でオンライン登録できます。カウンシルに手数料を払って登録してもらうこともできます。
  • VIC:カウンシルへの登録料がかかります。2020年11月1日より前に作られたプールは、情報調査の手数料もかかります。金額はカウンシルのサイトに載っています(Building and Plumbing Commission)。
  • WA:カウンシルが検査の費用を請求できます。

ここに注意してね!

  • オーストラリアでは、家庭のプールの柵は所有者の法的な義務です。子どもがいない家でも柵が必要な州があります(VICなど)。
  • 柵は子どもが入りにくくするためのもので、絶対に入れないものではありません。WA州政府は、見守りが最も大切な対策で、柵は補助の対策だとしています。
  • ビニールプールなど小さなプールも、深さによっては柵や登録の対象になります。買う前に州とカウンシルの決まりを確認してください。
  • 家を買う・借りるときは、プールの登録や証明書の有無を確認するとよいでしょう。NSWでは州のプール登録簿で住所から登録状況を調べられます(NSW Swimming Pool Register(新しいタブで開く))。
  • 海で泳ぐときの注意は「海の安全(旗の間で泳ぐ)」にあります。

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