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日豪租税条約と二重課税(Japan–Australia tax treaty)

ひとことで言うと

日本とオーストラリアの間には、同じ所得に両国で税金がかかる二重課税を避けるための租税条約があります。2008年に署名・発効し、BEPS防止措置実施条約(MLI)で一部が修正されています。どちらの国の居住者かの判定、給与・年金・配当などの課税の分け方、外国で払った税の控除を定めています。

目次
  1. 日豪租税条約とは
  2. 手順
  3. 日本との違い・注意点
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ここは大事だよ

条件や金額は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の情報を確認してください。個別の判断は、登録された専門家に相談してください。

日豪租税条約とは

租税条約(Tax treaty、Double tax agreement)は、2つの国の間で、どちらの国がどの所得に課税するかを決め、二重課税や脱税を防ぐための取り決めです。

日本とオーストラリアの現在の条約は「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とオーストラリアとの間の条約」です。

項目内容
署名2008年1月31日(東京)
発効2008年12月3日
以前の条約1970年に発効した条約を全面的に新しくしたもの
MLI による修正BEPS防止措置実施条約(Multilateral Instrument、MLI)が両国について2019年1月1日に発効し、条約の一部が修正されている

条約の本文と、MLI による修正を反映した統合条文は、財務省の日豪租税条約のページ(新しいタブで開く)から見られます。統合条文は理解を助けるための資料で、法的な効力を持つのは条約と MLI の正文です。

基本の考え方

各国は、自国の居住者の所得に、自国の法律で課税できます。条約は、所得の種類ごとに、所得が生じた国(源泉地国)がどこまで課税できるかを決めています。

  • オーストラリアの税務上の居住者は、原則として世界中の所得に課税されます。外国の居住者は、原則としてオーストラリアで生じた所得にだけ課税されます(ATO のページ(新しいタブで開く))。
  • 日本の所得税法では、国内に住所があるか、1年以上続けて居所がある人を居住者とし、それ以外を非居住者としています。非居住者は、日本で生じた所得(国内源泉所得)にだけ日本の所得税がかかります(国税庁のページ(新しいタブで開く))。

両国の居住者になる場合(第4条)

両国の法律で居住者になる個人は、条約で次の順に判定し、一方の国だけの居住者とみなします。

  1. 恒久的住居(Permanent home)がある国
  2. 両国にある(またはどちらにもない)場合は、個人的・経済的な関係がより密接な国(重要な利害関係の中心)
  3. 重要な利害関係の中心が決まらない場合は、国籍のある国
  4. 両国の国籍がある(またはどちらの国籍もない)場合は、両国の税務当局が協議して解決に努める

日豪租税条約のこの順番は、国税庁が一例として示す判定の順番(常用の住居を含む)とは違うため、条文で確認してください。

オーストラリアの税務上の居住者かどうかは、「税務上の居住者・非居住者」で説明しています。

主な所得の扱い

条約の英文をもとにまとめています。細かい条件は条文に書かれています。

所得条約の主な内容
給与(第14条)原則として、居住する国だけが課税する。ただし、もう一方の国で働いた分は、働いた国も課税できる
短期の出張などの給与(第14条)働いた国での滞在が12か月の間に合計183日以下で、その国の居住者でない雇用主が払い、その国の恒久的施設が負担しない場合は、居住する国だけが課税する
年金(第17条)定期的に支払われる年金などは、受け取る人が居住する国だけが課税する(政府職員の年金などは第18条)
学生(第19条)教育のために一時的に滞在する学生が、生活費や学費のために国外から受け取る支払いは、滞在する国で課税されない
配当(第10条)源泉地国の税率の上限は原則10%。持株割合10%以上は5%、80%以上は免税(条件あり)
利子(第11条)源泉地国の税率の上限は原則10%。特定の政府機関や金融機関が受け取る利子は免税
使用料(第12条)源泉地国の税率の上限は5%

配当・利子・使用料の率は、財務省の発表(新しいタブで開く)に載っています。

二重課税の解消(第25条)

条約に沿って一方の国で税金がかかった場合、居住する国で、その税額を税金から差し引く(税額控除する)仕組みです。

  • オーストラリアの居住者が日本で生じた所得に日本の税金を払った場合、オーストラリアの法律に従って、オーストラリアの税金から控除されます。オーストラリアでは、外国所得税の控除(Foreign income tax offset、FITO)として申告します。
  • 日本の居住者がオーストラリアで生じた所得にオーストラリアの税金を払った場合、日本の法律に従って、日本の税金から控除されます。控除額は、その所得に対応する日本の税額が上限です。

手順

日本の所得がある、または日豪を行き来する人の確認の流れです。

  1. オーストラリアの税務上の居住者かどうかを確認する。
  2. 日本の所得税法で居住者か非居住者かを確認する。
  3. 両国で居住者になる場合は、条約第4条で一方の国の居住者と判定する。
  4. 所得の種類ごとに、条約でどちらの国が課税できるかを確認する。
  5. オーストラリアの居住者は、課税される外国の所得を確定申告に含め、外国で払った税金は FITO として申告する。
  6. 日本で源泉徴収される配当などに条約の軽減を受けるときは、日本の支払者を通じて「租税条約に関する届出書」を出す(下の注意点を参照)。

日本とのちがいと注意点だよ!

  • 日本の非居住者が、日本で源泉徴収される配当・利子・使用料などに条約の軽減や免除を受けるには、「租税条約に関する届出書」を、最初に支払いを受ける日の前日までに、支払者を通じて税務署に出す必要があります。出していない場合は国内法の税率で源泉徴収されますが、後から還付を請求できます。
  • 日豪租税条約には特典の制限の条項(第23条)があります。国税庁の案内では、特典条項のある条約で軽減を受ける場合、届出書のほかに特典条項に関する付表と居住者証明書が必要になることがあります。
  • 日本の法人の海外支店などに1年以上の予定で勤務する給与所得者は、一般的に日本の非居住者と推定されます。
  • 日本の年金とオーストラリアの税金は「日本の年金とオーストラリアの税金」、海外の所得は「海外の所得と税金」で説明します。
  • 条約の適用は個別の事情で変わります。日本側は税務署か税理士、オーストラリア側は ATO か登録税理士(registered tax agent)に確認してください。

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