日本人のためのオーストラリア情報
日本との関係 / 日本側の手続き

日本の税金と納税管理人(Japanese tax for non-residents and tax agent in Japan)

在住駐在
ひとことで言うと

日本の所得税法では、海外に住んで日本の「非居住者」になっても、日本国内の不動産の賃貸収入などがあると日本で確定申告が必要になる場合があります。その場合は「納税管理人」を決めて、税務署長に届け出ます。居住者か非居住者かは、住所(生活の本拠)などで判断します。

目次
  1. まず「居住者」か「非居住者」か
  2. 手順
  3. 費用
  4. 日本との違い・注意点
1,234 %
ここは大事だよ

条件や金額は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の情報を確認してください。個別の判断は、登録された専門家に相談してください。

まず「居住者」か「非居住者」か

日本の所得税は、「居住者」と「非居住者」で課税される所得の範囲が違います。オーストラリアに住む日本人が日本の税金について考えるときは、まず自分がどちらにあたるかが出発点になります。

居住者と非居住者

国税庁のタックスアンサーNo.2875(新しいタブで開く)の定義では、所得税法の「居住者」は、日本国内に「住所」があるか、現在まで引き続き1年以上「居所」がある個人です。居住者以外の個人が「非居住者」です。

  • 「住所」は、個人の生活の本拠をいいます。生活の本拠かどうかは、客観的な事実で判定します。
  • 「居所」は、生活の本拠ではないが、実際に住んでいる場所です。

No.2012では、国内に生活の本拠があるかどうかを、住居、職業、資産の所在、親族の居住状況、国籍などの客観的な事実で判断するとしています。滞在日数だけでは判断しないため、外国に1年の半分(183日)以上いても日本の居住者になる場合があります。

日本とオーストラリアの両方で居住者と判定された場合は、租税条約の規定でどちらの国の居住者かを判定します。条約の中身は「日豪租税条約と二重課税」で、オーストラリア側の居住者の判定は「税務上の居住者・非居住者」で説明しています。

No.1923は、日本の会社の給与所得者が1年以上の予定で海外の支店などに転勤すると、一般的には日本に住所がないものと推定され、転出後は非居住者になると説明しています。

非居住者でも日本で申告が必要な場合

非居住者に日本国内で生じた一定の所得(国内源泉所得)があると、日本で確定申告が必要になる場合があります。総合課税で税額を計算し、確定申告をするのは次の所得です。

  1. 国内にある資産の運用または保有により生じる所得(源泉徴収されない取引)
  2. 国内にある資産(不動産や一定の株式など)の譲渡による所得
  3. 国内にある不動産などの貸付けによる対価(不動産所得)
  4. 国内にある営業所などを通じて結んだ保険契約などにもとづく一時金

国内の不動産の賃貸料は、原則として、非居住者が受け取るときに20.42%の税率で所得税と復興特別所得税が源泉徴収されます(令和9年分以後は防衛特別所得税も含む)。国税庁は、この源泉徴収税額の還付を受けるための申告もできると説明しています。

海外勤務の年を通じて、日本の国内源泉所得の金額が所得控除の合計額を超える場合は、原則として翌年2月16日から3月15日までに、納税管理人を通じて確定申告をします。

納税管理人

納税管理人は、確定申告書の提出や税金の納付などを非居住者に代わって行う人で、法人でも個人でもかまいません。

  • 確定申告などが必要な場合は、納税管理人を決め、「所得税・消費税の納税管理人の選任・解任届出書」を、非居住者の納税地を所轄する税務署長に出します。
  • 届出書を出した後は、税務署が送る書類は納税管理人あてに送られます。確定申告書は、非居住者の納税地を所轄する税務署長に出します。
  • 帰国して居住者になるなどで納税管理人を解任するときも、同じ届出書を出します。
  • 納税管理人を変えるときは、今の納税管理人を解任する届出をしてから、新しい納税管理人を選任する届出をします。

手順

  1. 自分が日本の非居住者にあたるか、日本の国内源泉所得があるかを確認する。
  2. 確定申告が必要な場合は、日本で納税管理人を決める。
  3. 「所得税・消費税の納税管理人の選任・解任届出書」を、納税地を所轄する税務署長に出す。
  4. 翌年2月16日から3月15日までに、納税管理人を通じて確定申告と納税をする。

日本を出る年の手続き(年末調整や準確定申告)は「出国時の日本の税金」にまとめています。

費用

納税管理人を依頼する費用は、依頼先によって違います。日本の税金の申告は、税務署や日本の税理士が相談先です。

日本とのちがいと注意点だよ!

  • この記事は日本の所得税の説明で、オーストラリアの税金は別の制度です。日本の所得のオーストラリアでの扱いは「海外の所得と税金」で扱っています。
  • 日本年金機構は、オーストラリアに住む人が受け取る日本の年金について、所得税はオーストラリアで課税対象となり日本では非課税になると説明しています。そのためには「租税条約に関する届出書(様式9)」を日本年金機構本部に出します。
  • 居住者か非居住者かの判定や、申告が必要かどうかは個別の事情によります。判断に迷う場合は、日本の税務署や税理士、オーストラリアの登録税理士(Tax agent)に相談してください。相談先の探し方は「登録税理士(Tax agent)と相談先」にあります。

この記事をシェアする

次に読むならこれ

日本との関係日本の健康保険と海外療養費(Japanese health insurance and overseas medical expenses)日本の国民健康保険の被保険者は、日本国内に住所がある人です。海外転出などで住所がなくなる人は、市区町村の窓口に届け出ます。日本の健康保険に加入している人が海外で急な病気やけがで治療を受けたときは、申請により医療費の一部が払い戻される「海外療養費」の制度があります。日本との関係駐在員の日本側の手続き(Japan-side procedures for company transferees)日本の会社からオーストラリアへ転勤・出向する人は、出国前に会社で年末調整を受け、日豪社会保障協定の適用証明書の手続き、住民票や健康保険、マイナンバーカードの手続きなどをします。1年以上の予定で海外に転勤すると、日本の所得税法では一般に非居住者になります。日本との関係日本の運転免許の更新(Renewing a Japanese driver licence while living overseas)日本の運転免許は、更新期間内に更新しないと失効します。海外に住む人は、更新期間に一時帰国していれば実家などを住所として更新できます。更新期間に海外にいる見込みのときは、帰国中に期間前に更新できる特例があります。海外滞在で失効した場合も、期限内なら試験の一部が免除されます。

関連する記事

日本との関係出国時の日本の税金(Japanese tax when leaving Japan)日本を出て非居住者になる年は、会社員なら出国前に年末調整で所得税を精算するのが原則です。納税管理人を決めずに出国し、確定申告が必要な人は、出国の時までに準確定申告をします。個人住民税は、その年の1月1日時点で住所がある市区町村が課税します。仕事・税金日豪租税条約と二重課税(Japan–Australia tax treaty)日本とオーストラリアの間には、同じ所得に両国で税金がかかる二重課税を避けるための租税条約があります。2008年に署名・発効し、BEPS防止措置実施条約(MLI)で一部が修正されています。どちらの国の居住者かの判定、給与・年金・配当などの課税の分け方、外国で払った税の控除を定めています。仕事・税金税務上の居住者・非居住者(Residency for tax purposes)オーストラリアの税金では、税務上の居住者か非居住者かで税率・非課税枠・申告する所得の範囲が変わります。判定はビザの種類ではなく、ATOが示す居住者テスト(resides test など)で行います。ワーキングホリデーの人の多くは非居住者とされます。仕事・税金海外の所得と税金(Foreign and worldwide income)オーストラリアの税務上の居住者は、世界中で得た所得を確定申告に含めます。外国で払った税金は、外国税額控除(FITO)で差し引ける場合があります。一時居住者は国外の所得の多くが課税されず、外国の居住者は原則としてオーストラリアで生じた所得だけを申告します。仕事・税金日本の年金とオーストラリアの税金(Japanese pensions and Australian tax)オーストラリアの税務上の居住者が受け取る日本の年金は、オーストラリアで申告する外国の年金として扱われます。日本の老齢年金は、日本年金機構に「租税条約に関する届出書」を出すと、日本の所得税の源泉徴収が免除されます。届出書を出さずに日本で源泉徴収された分は、後から還付を請求できます。日本との関係相続と海外在住(日本の相続登記・相続税、Inheritance in Japan while living abroad)オーストラリアに住んでいても、日本の不動産を相続したら相続登記が必要です。2024年4月から相続登記は義務になり、相続を知った日から3年以内に申請します。日本に住所のない相続人も、日本国内の財産などは相続税の対象になり、申告には納税管理人を定めます。